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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■愛さずにはいられない(中国BAZAAR)・2
どこの人間でもあり、どこの人間でもない。
国籍が彼を縛ることはできない。
彼の心は自由に狭い国家からはみ出していく。
彼は北京語と台湾語と日本語と広東語を自由にあやつることができる。
ちょうど、殺し屋や天使や刑事や音楽家といった
様々な役柄を自由に行き来できるように。
事実は、金城武はその恵まれていることから逆に制限を受け、
と同時に、彼を深く困惑させるもの全てが、
彼独特の人格を作り出してもいるのだ。

金城武には、一種、人を魅惑する距離感がある。
彼の周囲にはまるで何層にもなった空気の保護幕があって、
彼を手の届かないところに隔離し、
自分の心の世界に安住させ、外には出歩きたがらなくさせているようだ。
まさにこの持ち味こそが、彼を多くの監督のお気に入りにさせているのである。

かつてウォン・カーウァイの作品で、彼は1つの成長のシンボルであり、
青春をいやおうなくさらけ出していた。
「恋する惑星」の彼は、棚に置き忘れられたパイナップルの缶詰だが、
見知らぬ女のために靴をそっと脱がしてやる。
「天使の涙」では死んだ豚にマッサージをし、
行動のみでしか他人とコミュニケーションが取れず、
頭を血だらけにしたって平気だ。

その後、パトリック・ヤウの「パラダイス!」では、
汚い、希望のない殺し屋で、大事をしでかしてしまう小人物だった。
シルビア・チャンはこう言っている。
金城武は宇宙から来たみたいで、私と彼とは脳波が違い、
コミュニケーションが取れなかった。
だからこそ「君のいた永遠」が生まれたのだと。(続く)
(柏法[女尼]文 張ロ米編集 ハーパース・バザール中国版2004年10月号)


BBS 10:30

11月16日(火)
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