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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 介護業界崩壊の危機
ヘルパーたちの不満は待遇だけではない。人が人を支えるという介護の根幹も崩れ始めている。例えば前述した生活援助サービスの上限設定は、ヘルパーから利用者とかかわる機会を奪ってしまった。東京都社会福祉協議会が改正から2カ月が経過した時点で、サービス利用者を対象に実施した調査では、「時間が短くなり、内容が浅く、仕事をさっとこなさなければならないように感じる」「目がほとんど見えないため、買い物の同行、調理の下準備を行ってもらっていたが、自分で行わなければならなくなり、リスクが高くなった」などの声が寄せられ、利用者の不都合が浮き彫りになった。Fさんも「効率良く仕事をこなさなければならず、常に時間に追われている気がする」と話す。
時間に追われながら決められた仕事をこなさざるを得ない以上、「話し相手になってほしい」という一人暮らしの高齢者の切実な願いにも応えられない。「介護報酬単位の設定に、精神的なケアに対する項目がなぜ盛り込まれないのか」「これで“自立支援”などできるのか」。そんな疑問の声を投げかける関係者もいる。
前述のFさんは、理不尽な仕事の実態を話してくれたあと、「私の年齢にまでなるとなおさらそうだけど、中高年の女性の仕事は制限されがちだから…。ヘルパーくらいしかないという現実もある」と打ち明ける。そして最後にこうつぶやいた。「介護保険制度自体が変わらないと、きっと私たちの現状は何も変わらないだろう」。
団塊の世代の高齢化で爆発的な高齢者人口の増加が見込まれ、訪問介護の需要はますます高まっていく。しかし、その最前線で働くヘルパーたちは、低介護費政策がもたらす抑制により希望を失いつつある。このような状況の中で、高齢者にとって望ましい介護が果たして訪れるのだろうか。今、在宅介護が足元から揺らいでいる。ヘルパーたちが自分たちの仕事を“心の底からやりがいのある仕事”と感じられるよう、国、そして国民全てが力をあわせ、早急な対策を講じる必要があるのではないだろうか。
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02月16日(土)
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