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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 汚染米拡大 元凶は農水省である
 それにしては、農林水産省の対応は危機感が薄すぎる。
 農水省は汚染米が流通した業者名の公表に積極的ではない。公表について同意が得られなかった業者名は、原則として発表していない。患者や職員らが米を食べてしまった病院名などについても、口をつぐんでいる。食品の安全衛生にかかわることは厚生労働省の管轄であり、農水省には権限がない、というのだ。
 業者が被る影響を考えてのことかもしれないが、どこまで流通したかがわからなければ、消費者はいっそう不安になる。それは結果的に業界をさらに追いつめることを忘れてはいけない。
 そもそも、汚染米の転用を招いた責任は農水省にもある。
 転用された汚染米の大半は、農水省が業者に売り渡した輸入米だ。保管中にカビが生えたり農薬成分が検出されたりしたものだが、それを「工業用」として買い取ってくれる業者は農水省にとってありがたい存在だった。
 農水省は汚染米を扱う業者の不正を見抜けなかった。その背景には、業者とのなれ合いがあったのではないか。そう勘ぐりたくもなる。
 福田首相は太田農水相に流通経路の解明などを指示した。しかし、もはや当事者の農水省だけに任せてはおけない。政府は野田消費者行政担当相のもとに情報を集約し、厚労省や自治体などとも十分連携しながら事件の全容解明に総力を挙げるべきだ。
 福田首相が政権を投げ出したからといって、政府が休業状態であっていいわけがない。まだ健康被害が報告されていないとはいえ、ことは国民の安全にかかわる。流通経路の解明と再発防止の対策づくりを急ぎ、一日も早く混乱を収めてもらいたい。

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汚染米拡大 元凶は農水省ではないか
                  2008年9月13日 新潟日報社説
 食の安全を最優先にすべき役所がこのありさまでどうするのか。農水省の危機管理能力の欠如は目を覆うばかりである。
 米粉加工販売会社「三笠フーズ」が農薬やカビ毒に汚染された事故米を「食用」として不正転売していたのが発覚、焼酎や菓子、病院の給食にまでも広く使われていた実態が明らかになった。
 ところが、太田誠一農相は「汚染米は人体に影響はないことは自信もって申し上げられる。だから、じたばた騒いでない」と発言する始末だ。消費者感情がまるで分かっていない。
 問題のコメの大半は政府がミニマムアクセス(最低輸入量)米として、中国やベトナムなどから輸入したものだ。太田農相は汚染が見つかったミニマムアクセス米は今後、輸出国に返品する方針を示した。
 当然の措置である。そもそも汚染米を受け入れてきたのがおかしい。食用にならないコメをなぜ輸入したのか。
 汚染米の返品や焼却には費用がかかる。「工業用として業者に販売すればいい」。残留農薬の検査は強化してきた農水省だが、汚染米の処分方法については対策が不十分だったと言っても過言ではあるまい。
 汚染米は工業用のりなど使途が限定されるため、買い手が見つかりづらい。大量の引き受け先である三笠フーズは、農水省にとって「渡りに船」のような存在だったろう。
 しかし、チェック機能が全く働かなかった。農水省職員が過去数年にわたり、三笠フーズに立ち入りを百回近く行っても、不正を見抜けなかった。
 業者に事前通告して行う検査では、そうなるのも無理はない。不正はないと決めてかかった手抜き検査と言わねばならない。大量の購入先だからこそ、監視の目を厳しくすべきだった。
 発覚後の対応もお粗末すぎる。農水省は「無用の混乱を招く」として、転売先の業者名や商品名などの公表を渋った。「情報隠し」のせいで酒造会社など食品業界には風評被害が広がった。「無用の混乱」を招いたのは農水省自身である。
 消費者重視をうたう福田康夫首相の指導力もまるでない。事件発覚一週間後にようやく事実関係の全容解明と公表を太田農相に指示するありさまだ。辞任を表明しても首相は首相だ。責任感まで投げ出されては困る。
 今回の事件で明らかになったのは、業者の悪質さばかりではない。食の安心、安全を国には任せておけないという危機的状況である。

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09月14日(日)
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