ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ グルジア大統領ロシアとの「戦争状態」を宣言
 ロシアのメドベージェフ大統領は、「ロシア人の生命を守る」と軍事介入を正当化している。
 しかし、南オセチア住民の多数の意思が親露的であることは事実だとしても、南オセチアがグルジア領であることもまた厳然たる事実である。
 南オセチアへの分離支援が正当化されるなら、ロシアはチェチェンの“分離”をも容認すべきだということになるのではないか。
 領土保全が絡む国家間紛争は、しかるべき外交交渉で決着をつける筋合いのものだろう。
 グルジアは、カスピ海の原油を欧州に輸出するパイプラインが通る要衝でもある。
 グルジア情勢が流動化するようであれば、特に欧州経済が被る打撃は小さくない。
 グルジアを含むカフカス地域はもともと、多くの民族対立を抱える地域だ。南オセチア問題がこれらの対立に“引火”しないよう、国際社会、とりわけロシアは十分に意を払う必要がある。
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社説:南オセチア 露とグルジアは即時停戦を
                       2008年8月10日 毎日
 「一つの世界(同一個世界)」をスローガンに北京五輪が華やかに開幕した8日、黒海とカスピ海に挟まれたカフカス地域で激しい戦闘が続いた。グルジアの政府軍が分離独立を求める南オセチア自治州に進攻し、独立を支持するロシア軍との大規模な交戦に発展したのだ。
 五輪開会式に出席していたプーチン露首相はブッシュ米大統領と意見を交換した。外遊中の大規模戦闘とあって、プーチン首相の表情は険しかった。平和の祭典にあわせた米露会談のテーマは、何とも殺伐たるものになってしまった。
 現地では多数の市民の死傷が伝えられている。グルジアとロシアは直ちに戦闘を停止すべきだ。激しい空爆を続けるロシア側に、特に自制を求めたい。
 国際社会も事態収拾を急がねばならない。欧州連合(EU)と米国、全欧安保協力機構(OSCE)の3者は、早期停戦をめざしグルジアに合同使節団を派遣するという。
 国連安保理ではグルジア支援の欧米と南オセチアを支持するロシアの対立が続いているが、非難の応酬に終始して機能不全に陥る愚は避けたい。本格的な戦争に発展すれば、取り返しのつかないことになる。
 面積が日本の5分の1にも満たないグルジア(約7万平方キロ)はカフカスの火薬庫ともいえる存在だ。旧ソ連圏から91年に独立を宣言したが、オセチア人が多数を占める南オセチア自治州では、独立派がグルジアとの戦闘の末に大半の地域の実効支配を勝ち取った。
 同じオセチア人主体の北オセチアはロシア連邦内の共和国だ。グルジアではアブハジア自治共和国も分離独立をめざしており、紛争の構図は非常に複雑だ。
 そんなグルジアは03年の「バラ革命」以降、親欧米のベクトルを強め、サーカシビリ政権下で北大西洋条約機構(NATO)への加盟をめざしている。ロシアを通らずにカスピ海の石油を欧米へ運べるルート上にあり、「東西対立」の隠れた要衝でもある。だからこそ、ロシアとグルジアの摩擦が絶えないのだろう。
 無論、ロシアにも言い分はある。旧ソ連圏の国々が次々に米国主導のNATOに加盟し、旧東欧地域には米国がミサイル防衛(MD)を建設しようとしている。今年はロシアとゆかりの深いセルビアからコソボ自治州が独立を宣言した。
 コソボ独立を容認するなら、南オセチアやアブハジアの分離独立も許すべきだ、というロシアの主張にも一理はある。欧米はグルジアの領土保全を支持するが、南オセチアで06年に実施された住民投票で、独立支持が99%に上ったのも現実である。
 冷戦終結後の和解のメカニズムが機能していないという見方もできよう。カフカスの安定には、露・グルジアの対話とともに、米露の協調が欠かせない。
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社説1 ロシア・グルジア紛争の国際的波及防げ(8/10)
                            2008年8月10日 日経

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