ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■公示地価:2年連続99.6%の地点で下落
 野村証券・不動産担当アナリストの福島大輔氏はリポートで、問題点として貸し手と借り手のミスマッチを指摘する。福島氏によると、市場で魅力的な不動産が売りに出ておらず積極的に買う状態になく借入金を圧縮する一方、簿価の高い不動産会社・ファンドはバランスシート調整が終了しておらず資金調達ができないという。そのため、市場に恩恵を及ぼすとの見方もある追加的な金融緩和策が、大手不動産会社のファンダメンタルズに大きな影響を及ぼさないとしている。
 ただ「一時はオフィスビルで解約が入居を大幅に上回る状態だったが、足元では入居が上回るようになっている。景気に対して遅行性があるため、先行き徐々に不動産の状況は改善しそうだ」(大手不動産関係者)との声や「スケールは小さいながら、不動産ファンドを組成する動きもポツポツと出始めた。楽観はできないながら、このまま下げ幅を広げるような様子でもない」(SMBCフレンド証券・不動産担当アナリストの馬場正夫氏)といった見方もある。2011年3月期には企業業績全体の上向きが見込まれているため、遅行性を踏まえれば徐々に需給の改善も期待できるようになり「ここからは市況底打ちのタイミングを待つ場面になる」(馬場氏)という。
 それでも「2─3年前にピークを打った時もそうだったが、不動産が活況になるのは株価が大幅に上昇するなど資産バブルの様相を呈した時。低金利継続は確認されながらも、こうした状態にない現在、急速に不動産業界が上向くとは思えない」(東洋証券の檜和田氏)との声もあり、今回の公示地価下落によって不動産株が悪材料出尽くしから本格的な相場回復に向かうといったムードは市場で感じられない。
 市場では「少子高齢化などで成長が期待できない国の不動産価格が、大幅に上向くのは難しそうだ。過去には資金を振り向けた海外勢も、現状では日本の不動産を注目するとも思えず、構造的に市況が上がりにくいと言えるのではないか」(UBS証券・チーフストラテジストの道家映二氏)と厳しい指摘もあった。
 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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4、社説:地価下落―新しい成長の足場にも
                            2010年3月19日 朝日

 地価の動きは経済の勢いを映す鏡といえる。デフレで地価が下がるのも当たり前のこと。鏡を見て服装を整えるように、新しい現実を景気回復への足がかりにしたい。
 国土交通省がきのう発表した公示地価は、全国で2年連続の下落だった。下げ幅は住宅地が4.2%、商業地は6.1%だった。
 調査対象の約2万7千地点のうち上昇地点はわずか7地点。2008年秋のリーマン・ショック後の世界同時不況から抜け出せない日本経済の姿が確認された。
 とはいえ、バブル崩壊後の90年代とは様相が異なる。地価の下落が不況に拍車をかける悪循環に陥ってはいない。首都圏や中京圏では、下落傾向が緩やかになってきた。
 直近のピーク時からの下落率は、住宅バブルが破裂した米国や英国などに比べ格段に小さい。20年近くに及ぶ長い調整期間を経て、ようやく利用価値に見合う地価水準に落ち着いてきたようにも見える。
 アジア向け輸出の回復や財政・金融政策を頼りに不況からの出口をさぐっている日本経済にとって大事な時期だ。地価下落が経済に悪影響を及ぼさないよう、政府は注意深く手を打ってもらいたい。
 地価が下がって担保価値が落ちれば、金融が収縮したり投資や雇用が減少したりしかねない。それに対応するきめ細かい金融行政や中小企業対策が必要だ。資産の目減りで消費が冷えないよう、住宅ローン減税などの目配りも欠かせない。
 だが、地価下落はチャンスも生む。企業が事業拡大の好機と受けとめ、個人が新たな住宅取得へと動くなら、いずれ景気回復へとつながってゆく。
 たとえば首都圏ではここ数年、住宅価格が平均年収の6〜7倍の水準にあった。90年代前半、宮沢政権が「大都市圏の住宅を平均年収の5倍程度に」との目標を掲げた。今でも妥当かどうかは別として、この水準に近づけば、買う人がだんだんと増えてくる可能性はあるだろう。

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03月20日(土)
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