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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■農水トップ2人汚染米で引責辞任
 辞任をすれば、けじめをつけたということになるのだろうか。責任をわきまえないお粗末な状況判断にあぜんとする。
 カビ毒や残留農薬に汚染された事故米の不正転売問題で、太田誠一農相が責任を取って辞任した。白須敏朗事務次官も更迭された。農林水産省のトップ二人の首が飛ぶという異常事態だ。
 不正転売問題は終息する兆しさえない。流通の実態が明らかになるにつれ、深刻さを増している。食の信頼を取り戻すためには、組織が一丸となって対策を打ち出さなければならない。
 それなのにこの混乱ぶりである。「トップ自らが敵前逃亡した」と言われても仕方がない。国民の不信と批判は収まるどころか、火に油を注ぐ事態に陥っている。
 太田農相は「社会的な問題の大きさにかんがみて、決断した」と辞任の理由を説明した。農水省の責任は確かに大きい。不正転売をした米粉加工販売会社の三笠フーズなどに対してチェック機能が働かず、その後の対策も後手に回った。しかし今、大臣と次官がそろって辞める時期ではないはずだ。
 福田内閣の在任期間は二十四日までだ。太田農相は「(任期まで)ただ時間を過ごすのではなく、農水省全体として結果責任を明確にしておいた方がよい」とも発言した。
 大臣のポストは「時間を過ごす」ためのものではない。不正転売の全容解明に向けて陣頭指揮を執り、そしてけじめをつけるのが筋だろう。
 太田農相が辞めるにしても、白須次官は残して、農水省として解決に全力を挙げる選択肢もあったはずだ。
 太田農相は八月の就任以降、「やかましい」発言や事務所費の不透明な処理問題などで批判を浴びてきた。辞任するのなら、むしろこの時点で決断すべきだった。二重の判断ミスである。
 政治家の責任放棄が相次いでいる。安倍晋三前首相、福田康夫首相が政権を投げ出した。太田農相は首相の行動を見習ったわけではあるまい。
 政府や自民党には「早期のけじめが必要」との判断が働いた。近く予想される衆院解散・総選挙の前にダメージを最小限に抑えたいとの思惑もうかがえる。「何でも選挙絡み」にするのは思考停止である。
 農相辞任と相前後して、消費者庁創設の関連法案が閣議決定された。「消費者目線の改革」を掲げる福田首相が退任直前に一定の道筋をつけたということなのだろう。
 消費者庁の設置にこだわる一方で、農相は辞めさせる。政府の迷走ぶりは目を覆うばかりだ。そこに消費者目線は感じられない。国民を甘く見ているとしか思えない。

[新潟日報9月20日(土)]

09月21日(日)
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