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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ グルジア大統領ロシアとの「戦争状態」を宣言
旧ソ連崩壊で独立した新興国のひとつ、黒海沿岸のグルジアで、激しい戦闘が始まった。グルジア政府軍と隣国ロシアの軍がぶつかり、砲撃戦や航空機による爆撃などで多数の犠牲者が出ていると伝えられる。
 争いは、グルジアのロシア国境に面した南オセチア自治州をめぐって起きた。オセット人という少数民族が多く住むところで、国境をはさんだロシア側の北オセチア共和国と一緒になりたいと要求し、グルジアの独立前後から政府側との武力衝突が続いてきた。
 ロシア軍が平和維持軍として展開して大規模な戦闘はなくなったが、事実上、グルジア国内の小さな独立国のような存在になっている。
 今回の衝突がどんなきっかけで始まったのか、はっきりしない。グルジア政府軍が自治州の制圧を目指して進攻し、ロシア側が反攻に出て戦闘が広がったというのが大きな構図だ。
 国連の安保理が緊急招集されたが、ロシアと米国などが対立して身動きがとれない。ロシアは自らの利害や思惑をひとまず置き、戦闘の即時停止に動かねばならない。それが拒否権を持つ常任理事国としての責任だ。
 米国も仲介に入るべきだ。グルジアのサアカシュビリ大統領(40)は米国で学び、ニューヨークの法律事務所で勤務した経歴を持つなど、米国との結びつきは深い。ロシアとの対立を強める同大統領を米国が支えてきた面もあるのだから、責任の一端は免れまい。
 南オセチアをめぐる対立には、単なる少数民族の問題を超えて、国際政治のパワーゲームが絡んでいる。
 グルジアは独立以来、北大西洋条約機構(NATO)入りを目指すなど、ロシア離れを鮮明にしてきた。その一方で、カスピ海周辺の原油や天然ガスのパイプライン・ルートとしての戦略的な重要性も増している。
 だからこそ、90年代の経済困窮から立ち直ったロシアは、経済封鎖に近い強硬策でグルジア政権を締めつけ、影響力を強めようと動いてきた。南オセチアやアブハジアなどの親ロシアの分離独立運動を支えてきたのも、そうした思惑と無縁ではないはずだ。
 なおさら西側への傾斜を強めるサアカシュビリ政権に対し、米欧は協力姿勢を見せるものの、ロシアとの決定的な対立は避けたいという本音ものぞく。今回の武力進攻には、そんな煮え切らない米欧を強引に動かそうという計算もあったのかもしれない。
 南オセチアが分離するか、自治州にとどまるか。これを軍事で決着しようとなれば、旧ソ連のあちこちに残る少数民族問題が火を噴き上げるのは間違いない。戦闘をやめ、対話のテーブルにつく。これしか方法はない。
 国際社会は、国連などを使ってそれを後押ししなければならない。
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グルジア情勢 戦闘の即時停止が先決だ(8月10日付・読売社説)
2008年8月10日01時58分

 懸念されていたグルジアとロシアの軍事衝突が現実のものとなった。戦闘は拡大の様相を呈しており、事態は深刻さを増している。
 戦闘勃発(ぼっぱつ)の原因について双方とも相手を非難しているが、戦闘を直ちに停止することが肝要だ。そのうえで、事態打開の道を探るため、直接対話に臨むべきだ。
 両国は、グルジア・南オセチア自治州の分離独立問題をめぐり、対立を深めてきた。
 自治州は、住民の多数を占めるオセット人がロシア国籍を持つなど親露的な地域だ。ロシア領北オセチア自治共和国への編入絡みで、1990年代はじめから分離独立の動きを強めていた。
 これを認めないグルジア軍との間で戦闘が続いたが、92年に両者と、分離派を支援するロシアが停戦に合意、3者による平和維持軍が展開していた。
 しかし2004年、グルジアに登場したサアカシビリ政権が親欧米路線を鮮明にするに従って、ロシアは態度を硬化させた。
 特に、サアカシビリ政権が北大西洋条約機構(NATO)加盟に意欲を見せていることに神経をとがらせ、南オセチアへの軍事的、経済的なテコ入れを強化、グルジアに対する圧力を加えた。
 ロシアには、旧ソ連圏における影響力行使については一歩も譲れない、との意識が働いているようだ。豊かなエネルギー資源をバックにした最近の攻撃的な外交姿勢とも通じるものだ。

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08月11日(月)
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