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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 大分教育汚職 これで「教育」ができるのか
 公立学校教員採用試験は都道府県、政令指定都市教委が夏場に2段階選考で実施する。県警の調べでは、不正は合格点に足らない者に加点するやり方だ。採用倍率は全国的に団塊世代の大量退職や少人数学級導入の動きもあってひところより下がり、07年度で平均7・3倍だが、大分県は11・9倍と人気は高い。
 文部科学省は教育振興基本計画の策定で、向こう5年間で2万5000人の教員定数増加を盛り込もうとし、支出抑制を図る財務省に拒まれた。
 確かに授業時間を大幅に増やす新学習指導要領を実施するには教員を増やすことは必要だ。しかし、今回のような実態が露呈しては説得力はそがれる。
 それだけではない。教員採用にはコネや情実が利いているのではないかという疑念、不公平感は多くの地域で語られ、採用不祥事が報じられる度に嘆息が漏れてきた。文科省は「そのような採用実態は聞いていない」としてきたが、ならば、疑念を払うために、捜査機関とは別に、今回の事件の土壌を徹底検証してその内実を開示し、速やかに事件も疑いも生じさせない改革をすべきではないか。
 それには、採点・判定などが二重、三重に他者によってチェックできる仕組みが必要だ。恣意(しい)的な加点、減点の形跡が明確に残り、第三者が検証できれば抑止効果は上がる。しかし、それは情けない手段だ。こと教育界でこうした対策を考えなければならないこと自体が問題なのだ。
 今回の事件はごく一部の不心得者が起こした、では説明できない根の深さと広がりを示唆している。自制の感覚が鈍磨するほど長く続いてきた慣行慣習ではないのか。そんな疑念さえぬぐえない。例外として扱い、これを教訓としないで放置するなら「教育不信」をさらに深めるだけだろう。
 真剣に子供と向き合っている多くの先生たちのためにも、徹底解明が必要だ。
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【主張】教員採用汚職 身内に甘い体質断ち切れ
2008.7.8 産経新聞
 大分県の教員採用をめぐる汚職事件が発覚し、県教育委員会の幹部らが逮捕された。優れた人材を選考すべき採用試験をゆがめる行為であり、断じて許し難い。
 逮捕されたのは、いずれも教育関係者だ。女性小学校長が長男、長女を採用試験に合格させるため、現金や商品券を県教委参事に贈った。
 当初は仲介役として逮捕された小学校教頭夫婦もまた、長女を合格させるため、同様に商品券をわいろにしていた。
 教育者が金品を使ってわが子を教員にしようとは、にわかには信じ難い話だ。
 事件は、県教委ナンバー2の教育審議監だった同県由布市教育長が逮捕される事態になっている。この元教育審議監は、在職当時、採用の実務を担当する部下の参事に不正を指示していた。
 逮捕容疑以外にも複数の受験者から依頼を受けていたとみられ、点数を水増しするなど改竄(かいざん)した疑いもでている。
 一部の県教委幹部が合否を左右できるような選考方法自体が問題だ。県教委には再発防止へ徹底した調査が求められる。
 教員採用は、東京、大阪など大都市圏では、大量採用した団塊の世代が退職期を迎え、広き門になってはいる。
 しかし、民間就職口が限られる地方では教員の人気は高く、社会的地位もある。平成19年度の小学校の教員採用試験の倍率をみると、全国平均4・6倍に対し、大分県は約12倍だ。
 教員採用試験は筆記試験のほか、面接や実技により合否判定される。だが配点や評価基準を公表している教委は少ない。このため大分県の事件に限らず、教員採用をめぐっては「コネが必要」など縁故採用のうわさが絶えない。身内に甘く、閉鎖的な教育界の体質への不信感は根深い。
 校長、教頭など管理職試験の問題が教育委員会の身内から漏れる事件も起きている。
 公教育改革では教員の資質向上が欠かせない。採用試験では模擬授業など実技やボランティア経験を選考に加えるなど工夫もみられる。教育委員会によっては採用試験の面接官に外部から民間人を加えるなどの動きもある。
 今回の事件は、こうした改革にも逆行しており、教育への信頼を損なうものだ。教育界全体として反省を促したい。

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07月10日(木)
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