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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 無年金者118万人に
 「小手先のもので根本的な解決にはなりません。各都道府県の医学部定員を5人〜15人増やしたり、診療報酬を少し変える程度で何が変わるというのでしょうか。国民は本当のことを知らされていないのです。厚労省は全人口と医師の増加を比較するデータを根拠に『医師不足ではなく偏在』として医師の大幅な増員を打ち出しませんが、医療需要の高い50歳以上に絞って分析してみるとどうでしょう。1990年と2004年を比較すると、50歳以上の人口は39.6%増加していますが、医師数の伸びは27.7%にとどまっています。この差はいまが最も開いていますが、医療需要の伸びが緩やかになる今後10年間はだんだん回復します。ただ地方の現場の医師不足はさらに深刻化するでしょう。たとえ今から医学部定員を毎年数千人増やしても、10年の間効果は期待できませんが、先を見通して早急に抜本的な見直しを行うべきです」

―ほかに危惧されていることはありますか。
 「やはり政策の大前提として『老人切り捨て』があるので、さまざまな弊害が生じています。しかしこれについてもでたらめな情報ばかりです。政府は超高齢社会の到来による社会保障費の増大をしきりに言っていますが、高齢者が増えれば社会保障費が増えるのは分かりきっていたことです。ちなみにヨーロッパ諸国の現在の社会保障費の割合は、政府が『国が崩壊する』という20年後の日本の予測値と同じです。それでもヨーロッパの国は潰れていないでしょう。私は介護の受け皿の不足は医療問題以上に深刻だと考えていますが、むしろこのまま抑制を続けていけば日本の方が潰れてしまいます」

■「生きることを支えるのが国の役割」
―潰れてしまうというのは。
 「国が高齢者を放置すれば、若い世代が面倒を見ることになるはずです。親を見捨てることなどできませんから。しかし、そうすると何が起きるでしょう。若者たちは仕事をすることすらままならなくなり、ましてや子どもを産み育てることなどできなくなってしまうのです。一方で政府は『持続可能な社会』などといって若い世代の頑張りを求めているのですから、政策のミスマッチもいいところです」

―今、わが国にはどのような視点が必要なのでしょうか。
 「やはり国が覚悟を決めて何に財源を割くのか明確に打ち出すべきだと思います。すべての事柄を手厚くすることは出来ないので、せめて国民が当たり前の死を迎えるまで生きることを国が支援する社会保障を求めます。一人になって動けなくなった人をどのように国が見ていくのか。これがまず国の役割なのではないでしょうか。生きていくだけの食事・住まい・ケアを用意するのに、それほどお金がかかるとは思えません。困ったら国が助けてくれるという支えがあれば、国全体が活力を持ち続けられるはずなのです。そのために私たちは今後とも国民に向けて真実を訴え続けていきますよ」

01月11日(金)
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