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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■風力エネルギー 
米国の風力発電容量は飛躍的な伸びを示している。オレゴン州とワシントン州の州境で実施されている261MWの風力プロジェクト(Stateline Wind Project)では、今年(2002年)後半に発電容量が300MWに拡大され、世界最大のウィンドファームになる。テキサス州では2001年、複数のプロジェクトにおいて約900MWの発電容量が新たに追加された。この中には、州西部のキングス・マウンテンにある、当時世界最大だった278MWを有するウィンドファームも含まれている。

サウスダコタ州では、カリフォルニア州の風力エネルギー開発の先駆者であるジム・デルセンが、州中東部の9万ヘクタールの農場や牧場に吹く風の使用権を獲得した。彼は、3,000MWの発電容量を有する巨大ウィンドファームを建設し、その電力をアイオワ州を経由して、イリノイ州など中西部の工業地帯に供給することを計画している。

欧州では現在、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、オランダ、スコットランド、スウェーデン、英国の沖合で、洋上風力プロジェクトが続々と立ち上がっている。

ドイツ風力エネルギー研究所は、2002年に2,900MW、さらに2003年には2,400MWの発電設備の建設を計画している。これらが計画通りに実施されれば、ドイツの風力発電設備の総容量は、政府の2010年の目標値である1万2,500MWを、2003年末までに優に上回ることになる。

こうした勢いのある産業が、将来どのくらい成長するかを予測することは難しい。しかし、風力資源の開発は、国内の風力発電容量が100MWを超えると急速に進む傾向がある。米国は1983年にこの分岐点を超えた。1987年のデンマーク、1991年のドイツに続いて、1994年にはインド、1995年にはスペインがこの分岐点を超えている。

さらに1999年末までに、カナダ、中国、イタリア、オランダ、スウェーデン、英国がすべてこの分岐点を越えた。2000年には、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルがこのリストに加わり、2001年には、フランスと日本も分岐点を超えている。すなわち2002年初めには、世界人口の半分を占める16もの国が、風力発電開発急成長の段階に突入したことになる。

風力エネルギーは電力や水素という形で、現代経済の多様なエネルギー需要をすべて満たすことができるため、新たなエネルギー経済の基盤になることが期待されている。現在、風力タービンが炭鉱に取って代わり、水素生成装置が精油所に取って代わり、燃料電池エンジンが内燃機関に取って代わる中、私たちはこの新たなエネルギー経済が姿を現しつつあるのを見ることができる。

07月25日(日)
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