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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■タイ衝突、死者21人 混乱、惨劇招く
 アピシット首相は12日、「(UDDの中に)テロリストがいることが明白になった」と非難。軍は現場の指揮官クラス以外には銃を所持させず、政府は「実弾は発砲していない」と主張する。だが、一部の外国人記者は「兵士が実弾を撃っているのを目撃した」と話し、混乱の中で軍も実弾を発砲した可能性は否定できない。
 村本さんは、軍側ではなくUDD側に近い地点で撮影中、流れ弾に当たったとみられる。自動小銃など威力の大きい銃で比較的遠距離から撃たれたことが確認されたが、銃撃したのが軍なのかUDDなのかは不明。真相解明にはなお時間がかかりそうだ。
 ◇首相の決断「裏目」 「再実力行使は拒否」
 「アピシット首相の判断ミスだ」。惨劇後の11日午前0時から始まったタイ軍の緊急会議の席上、出席した軍高官から厳しい意見が相次いだ。
 「こちらが丸腰だから、連中は我々を恐れず向かってきた」。陸軍筋によると、高官の間では「政治的対立は政治的に解消するしかない」との意見が強まり、「首相に再び実力行使を命じられても拒否する」ことで一致したという。
 軍や警察の治安部隊は、今回のUDDの反政府抗議行動に対し、これまでほとんど「手出ししない」姿勢を貫いてきた。UDDが国会への突入を図っても実力阻止せず、アピシット首相は衝突で死傷者が出て自身への批判が高まることを恐れて断固とした姿勢を取れず、かえってUDDを勢いづかせたとの見方が強い。
 首相が10日、一転して軍による実力行使に踏み切った背景には、UDDによる繁華街占拠で、経済界やバンコクの中間層など、首相自身の支持層の不満が爆発寸前まで高まったことがある。
 地元紙は、プミポン国王の信任が厚くタイ社会に強い影響力を持つプレム枢密院議長が、首相に対し13日からの「タイ正月」までの事態打開を促したと伝えた。政権の最大の後ろ盾であるプレム氏の意向も大きく作用したとみられる。
 だが強制排除は失敗に終わり、首相の決断は裏目に出ただけでなく、軍も首相を事実上見放した。国内では「下院の早期解散以外に解決策なし」との声が高まり、政権は「死に体」化しつつある。
 92年の騒乱を調停した国王は82歳と高齢で健康不安もあり、今回の仲裁に乗り出す動きはない。
 次期総選挙でタクシン派が勝利して元首相寄りの政権が誕生すれば、UDDの抗議行動は収束する。だが、そうなれば今度は一昨年にバンコク空港占拠事件を起こした反タクシン派組織が反政府行動を再開するのは確実。堂々巡りのタイの政治的、社会的対立は、容易に解消する道筋を持たない。
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社説:タイで日本人死亡 真相究明が最優先だ
                     2010年4月13日 毎日
 タイの政治的混乱は常軌を逸している。バンコクで反政府デモ隊と軍が衝突し、民間人や兵士20人以上が死亡した。ロイター通信日本支局の日本人テレビカメラマン、村本博之さんは胸に銃弾を受けて亡くなった。07年にミャンマーで反政府デモを取材中、兵士に射殺された長井健司さんの最期の姿も目に浮かび、暗然たる思いにとらわれる。
 首都の中心部で市街戦さながらの衝突を起こし、タイの国家的威信は失墜した。観光部門をはじめ経済的なダメージも大きかろう。混乱を鎮静化させ、民主的な手続きに従って国政を正常化させるのが、国益を守るうえで必須のことと言えよう。
 その最も重要な最初の一歩は、流血事件の真相究明でなければならない。タイには多くの日本企業が投資し、4万5000人以上の日本人が在留し、年間120万人以上の日本人観光客が訪れている。この密接な両国関係を考える時、村本さんの悲劇の経緯は極めて重要だ。撃ったのは誰か。流れ弾か意図的なものか。意図的な銃撃ならばその狙いは何だったのか。こうしたことをぜひとも明らかにする必要がある。タイ政府の誠実な対応を強く求めたい。

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04月14日(水)
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