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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■世界の製造業部門が予想外のペースで拡大
部品メーカーに金型を納入する国内の中小零細の金型メーカーはまさに存亡の機にある。並木会長は「日本のものづくり文化が壊れないか」といらだちを隠さない。
◇
「今週は稼働率が高いな」。樹脂加工メーカー、カツロン(東大阪市)の大阪府八尾市の工場で、石川明一社長(40)がほっとした表情を見せた。3月下旬のこの日は、23本の製造ラインのうち18本が稼働、自動車の配線などを通すチューブや、手すりの表面に巻く塩化ビニール素材などが仕上がり、次々と段ボール箱に詰められる。金融危機後は一時、半分近くを停止したが、3月の売上高は14カ月ぶりに前年同月を上回りそうだ。
昨年4月、3代目社長に就任して1年もたたない石川さんを、取引先の破産が直撃した。取引高で五指に入るだけに影響は大きいが、「再就職が難しい今、リストラは絶対にできない」と人員削減は見送り。本社にあった工場を倉庫に転換し、倉庫の借り賃を削るコスト削減で黒字を維持したという。
◇自動車・電機、収益回復 新興国の需要が後押し
3月短観は、大企業から中小・中堅に景気回復が波及する道筋を描いたが、石川さんは「とても『回復』とはいえない」。住宅版エコポイントやエコカー減税などの政策効果もあって受注は上向いてきたが、「あくまで時限的な施策。効果が切れた後は……」と気をもんでいる。
3月短観では、自動車や電機メーカーの業況判断指数が大幅に上昇した。新興国の需要に加え、景気対策が消費を底上げしており、全体的にみて収益回復基調は鮮明だ。
トヨタ自動車は大規模リコール(回収・無償修理)の影響で米国では一時的に販売が落ち込んだが、3割増だった中国など新興国に加え、国内でもハイブリッド車人気が続き、2月の世界新車販売台数は前年同月比14・8%増とプラスを維持した。
ホンダや日産自動車も10年3月期の業績予想を大幅に上方修正。電機大手もエコポイント効果で薄型テレビが好調で、パナソニックやソニーなどが上方修正している。短観では、10年度は3年ぶりの増収増益が見込まれ、「企業の収益は相当しっかりしてきた。多少の円高進行があっても耐えられる」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏)との見方が強まっている。
しかし主要国は財政悪化で景気対策にも限界があり、「政府に支えられた業界ほど、先々苦しむ」(アナリスト)可能性がある。昨年末に自動車の販売支援策を打ち切ったドイツでは、2月の新車販売が3割減と急減した。国内も9月末に補助制度が終了する方向で、業界では「需要の先食いの副作用で、下期にかけて販売不振に陥る」(大手メーカー幹部)と警戒している。
短観では、輸出企業の業績回復が非製造業にも広がっていることが確認され、「本格回復の芽」は見えた。政策効果が切れる前に、企業部門の回復が家計に波及し、内需が自律的な回復軌道に乗るかどうかが、今後の焦点となる。【大久保渉、清水憲司】
◆日銀短観の業況判断指数(DI)の推移◆
09年 10年
12月 3月 6月
【大企業】
製造業 ▼25 ▼14 ▼ 8
石油・石炭製品 ▼22 ▼ 5 ▼17
鉄 鋼 ▼48 ▼37 ▼33
電気機械 ▼20 ▼12 2
自動車 ▼21 ▼ 2 ▼12
生産用機械 ▼60 ▼40 ▼21
非製造業 ▼21 ▼14 ▼10
建 設 ▼24 ▼25 ▼24
不動産 ▼13 ▼ 8 ▼ 4
小売り ▼27 ▼16 ▼11
運輸・郵便 ▼30 ▼19 ▼18
飲食店・宿泊 ▼50 ▼38 ▼28
【中小企業】
製造業 ▼41 ▼30 ▼32
非製造業 ▼34 ▼31 ▼37
※主要企業を抜粋。▼はマイナス。10年
6月は見通し
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