ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
[257808hit]
■中国製ギョーザ中毒事件:ひとまず解決の形
製造元の天洋食品は設備は近代化されているが、事件発覚(08年1月)直前、従業員の解雇をめぐり労使紛争が起きていた。中国では08年1月から労働契約法が施行され、勤続10年以上の従業員は無期限に雇用する義務が事業者側に生じた。
天洋食品は同法施行直前の07年12月、中堅従業員14人を解雇した。これに対し、「コスト削減を狙う同社の駆け込み解雇だ」との声が上がっていた。呂容疑者も不安定な臨時従業員のままでいることに不満を募らせていたとみられている。
毎日新聞の取材に応じた同社の元臨時従業員の女性は「月給1000元(約1万4000円)で夜中まで働いてきた。妊娠したら突然解雇された」と憤る。女性従業員によると、同社では事件発覚の3年前も商品に微量の毒物が混入される事件が起き、会社に不満を持つ従業員の関与が疑われた。
逮捕発表から一夜明けた27日、石家荘の工場前には日本の報道陣ら数十人が押し寄せたが、関係者の正門からの出入りは全くない様子。工場は事件後、生産は停止しているものの、当局の調査のため、従業員はその後も出勤を求められている。中年の女性従業員は「もうこんなことは早く終わってほしい」と吐き捨てるように語った。周辺住民は、容疑者逮捕のニュースをほとんど知らないようだ。
中国では他にも、社会に対する不満から自暴自棄になって他者を巻き込む犯罪が全国で相次いでいる。
今月23日にも福建省の小学校の校門付近でなたを持った男が児童を襲い、13人を死傷させた。容疑者は41歳の元医師で、調べに対し「結婚話や再就職がうまくいかず、生きていても面白くないと思った」などと供述している。【石家荘・鈴木玲子】
◇時機計り逮捕公表か 昨秋には解決のめど、首相相互訪問調整中
「事件解決は、中国警察当局による2年余りのたゆまぬ入念な捜査の結果だ。被害者にとって慰めになるよう希望する」。中国外務省の秦剛副報道局長は27日、ギョーザ事件の容疑者逮捕を受けて談話を発表した。
ただ、中国側は呂容疑者の逮捕日時を公表していない。26日深夜に飛び込んできた「逮捕」の一報は、いかにも唐突だった。中国公安省は昨年秋、捜査の指揮を執ってきた余新民・刑事偵査局副局長を上海の同省研究所トップ(局長級)に昇格させており、この時期には事件解決のめどが立っていた可能性が高い。
中国政府は5月1日に開幕する上海万博期間中の鳩山由紀夫首相の訪中と、温家宝首相の訪日を日本政府と調整している。この時期の逮捕発表には、日本側の国民感情を好転させ、両国首相の相互訪問を後押しする思惑がありそうだ。地球温暖化対策やネット検閲などを巡って中国は欧米と激しく対立しており、日本との関係強化で孤立化を避ける狙いがあるとみられる。
日本は中国側の捜査状況の遅れによる事件の迷宮入りを懸念し、首脳会談などの場を通じて再三、事件の早期解決を要請してきた。外務省内などにはあきらめムードも漂っていただけに、急転直下の逮捕公表にひとまず安堵(あんど)している。27日夕、三重県四日市市で講演した岡田克也外相は「日中関係をもう一つ高いステージに上げたい」と述べ、中国側の対応を好感してみせた。
とはいえ、容疑者逮捕によって中国からの輸入食品への懸念が完全に一掃されるわけではない。外務省幹部は「再発防止策の徹底という課題が残っており、引き続き中国側に協力を求めていく」と語る。一方、中国主要メディアは新華社通信の記事だけを使い、抑制的に報道している。中国当局は日本側の要求に応じて捜査が進められたとみられることを恐れている模様だ。【中澤雄大、北京・浦松丈二】
◇食品事故、製造現場を互いに調査 日中両政府が合意へ
日中両政府が5月にも予定される鳩山由紀夫、温家宝両首相の首脳会談で、重大な食品事故が発生した場合に、日中双方の調査官が相手国の製造現場に入れることを盛り込んだ「日中食品安全推進イニシアチブ」に調印する方針であることが27日、明らかになった。ギョーザ事件の容疑者逮捕を受け、事件の再発防止と中国製食品の安全性を確保する狙いがある。
[5]続きを読む
03月29日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る