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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 社説のパターン
75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について、民主、共産、社民、国民新の野党4党が廃止法案を参院に提出した。
新制度には、多くの高齢者が不満を持っており、いったん廃止して制度を作り直す以外に解決策はないというのが提出理由だ。
ところが、法案には肝心の代替案が示されていない。来年度から旧制度の「老人保健制度」に戻すとしただけだ。そもそも、新制度が導入されたのは、旧制度への批判が強かったためだ。その旧制度に戻すというのでは、無責任と言わざるを得ない。
老人保健制度の見直しは、平成12年の参院委員会で共産党を除く与野党が付帯決議で確認していることである。旧制度は医療費を支援する若年世代の負担額が分かりづらく、高齢者医療費の増大が続く中で「負担が青天井になる」との懸念が強かった。
さらに高齢者の多い市町村では、国民健康保険(国保)が財政破綻(はたん)の危機にあった。保険料格差も、都道府県単位の新制度で2倍に縮まったが、国保は最大5倍あった。民主党は政権交代を目指す以上、旧制度の問題点について解決策を示す責務がある。
保険料年金天引きを10月1日までに廃止するともしているが、廃止しても保険料負担がなくなるわけではない。窓口で支払う手間が省け、便利だと感じていた高齢者も多い。新制度で保険料が下がった人は、旧制度に戻れば元の高い額を支払うことにもなる。納得のいく説明が求められよう。
民主党は、揮発油(ガソリン)税をめぐっても値下げを優先させ、歳入欠陥への対応策をきちんと示さなかった。新制度を廃止すれば、システム改修や保険証の交付し直しなど余計なコストがかさむことも認識すべきだ。
民主党は福田康夫首相への問責決議案提出を視野に廃止法案を政権揺さぶりの材料にしようとしている。こうした政争重視の対応をいつまで続けるのか。
医療保険の制度設計は一朝一夕にはいかない。代替案にしても国民的合意を得るには数年かかる。新制度はスタートしたばかりで、当面は問題点を改善すべきだ。
政府も、法案審議を新制度の意義をしっかり説明する場にしなくてはならない。肝要なのは、よりよき制度作りに向けて党派の対立を超えた論議を行うことだ。
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ウオッチング:後期高齢者医療制度 失政認め再議論を
2008年5月26日 毎日新聞
◇ 失政認め再議論を−−毎日
◇「野党は無責任」−−読売、産経
◇「財源問題逃げるな」−−朝日
75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度がスタートして間もなく2カ月になろうとしているが、新制度に対する反発は高齢者を中心に収まる気配がない。
年金からの保険料天引きに対する不満や混乱だけが原因ではない。なぜ74歳から1歳年を重ねただけで「後期高齢者」に仕分けされ、差別されなければならないのかという制度の根本にかかわる疑問や批判が背景にあるからだ。
毎日新聞が今月初旬に実施した世論調査によれば、8割近い人が新制度を評価していない。自民党支持者でも6割超が「評価しない」と答え、公明党支持者ではさらに厳しい反応が示された。
こうした世論を追い風に、民主党など野党4党は23日、後期高齢者医療制度は差別的だとして、同制度の廃止法案を参院に提出した。これに対し、与党は低所得層の負担軽減などの運用改善策を講じることで批判をかわそうとしている。
◇線引き評価分かれる
新制度の骨格は維持すべきか、「75歳線引き」を含め制度そのものを白紙に戻すべきか。
終盤国会の最大の焦点となるこの問題を、4紙が24日の社説で取り上げた。
各紙とも、対案を示さずに「まず廃止ありき」の野党の姿勢を批判、疑問視する点では共通している。ただ、毎日が「75歳線引き」という制度の根幹の是非から論議をやり直すべきだと主張しているのに対し、読売、産経が野党の廃止法案への批判を前面に出し、朝日が財源問題から逃げるなと強調している点にそれぞれの特色があらわれている。
各紙の相違は、75歳以上を独立させた新しい医療制度をどう見るかという認識の違いからくるものだ。
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05月27日(火)
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