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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ ワーキングプア
 不安定な低賃金労働が広がり、家族や親類、友人を頼れなくなった人も多い。「どこかで転ぶと下まで落ちてしまう。いまの日本は滑り台社会」。貧困問題に取り組むNPO法人の事務局長、湯浅誠さんはそう実感する。
 転んだときには早めに手を差し伸べ、再び職を得て自立できるよう支援することが大切だ。貧しい生活が長引くほど、再出発が難しくなるからだ。
 その意味で、生活保護は運用を見直すべきだ。現状では、現役世代はなかなか受給が認められない。不正受給を排除するのは当然だが、本当に困っているなら支給して、自立へ導く方がいい。
 東京都には最近、ネットカフェ難民からひっきりなしに電話がかかってくる。部屋を借りるとき60万円まで無利子で貸す制度を始めるからだ。部屋探しを手伝ったり、仕事探しなどの相談に乗ったりと、総合的に取り組む方針という。
 自立できるまで一時的に住める公営の寮を増やすのも一案だ。
 職につくには、まず生活指導から始めなければならないケースもあるだろう。自立支援は手間ひまがかかって大変だ。だが、貧困を減らせるかどうかは、ここにかかっている。
 
 職につくときも、ついてからも、仕事の能力を向上させることが欠かせない。それが第三の柱である。
 新興国の人たちよりも高い能力を身につけないと、新興国の低賃金に引きずられる。グローバル経済の宿命だ。経済のソフト化が進んで、知的能力が経済発展を左右するようになっている。
 職業能力の向上は企業がかなり担っていたが、終身雇用が崩れて転職がふつうになってきた。非正社員や失業中の人も能力を高められる仕組みを、社会的に充実させなければならない。
 若者たちの失業が日本より早く深刻になった英国などでは、職業訓練に力を入れたことが知られている。
 貧しくて訓練を受けられない人には、訓練中の生活を支えることも必要だ。きめ細かく自立と能力向上を支援するのは、地域政府の役割だろう。
 人材が育てば企業の力になる。給料が上がれば、消費が増えて売り上げも向上する。当面は費用がかかって負担になるが、結果としては、社会全体にとって大きなプラスになるのだ。
 日本は新興国の追い上げを食らい戦々恐々としている。だが少し前まで、そんな日本が欧米を追い上げていた。
 欧米はそれをどう切り抜けようとしてきたのか。その成果と苦労に学びつつ、新しい貧困を克服していきたい。

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ワーキング プア(working poor)は、正社員並みにフルタイムで働いても、ギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準以下の収入しか得られない就労者の社会層のことである。[1]
直訳では「働く貧者」だが、働く貧困層と解釈される。
発展途上国などで見られる典型的な貧困層とは異なり、新自由主義の先進国で見られる新しい種類の貧困として近年問題視されている。
ここでは、特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。

[編集] 概要
「働けば働くほど支出が増えて貧しくなる状態」とも言える。ワーキングプア増大の背景には1980年代以降の欧米で導入された新自由主義政策の影響が大きいとされる。新自由主義とは弱肉強食の理論であり、構造的に強者と弱者の二極化を促進させ格差社会を生み出す。なお、新自由主義的な経済政策を推し進めていた国際通貨基金も、“新自由主義的経済政策の推進は理論的にも実践的にも誤りだった”と2005年に認めている。
アメリカなどにおいては、就業していることから失業問題ではなく、賃金水準が低く、また技能の向上や職業上の地位の向上の可能性が低いことから労働問題として捉えられている。

[編集] 規模
ワーキングプアにあたる所得の世帯数は、日本全国で2002年約650万世帯ほどと推定され、2006年以降、社会問題として採り上げられるようになった。推計根拠は総務省の就業構造基本調査。これに基づいて試算すると、ワーキングプアの規模は次のとおり[2]と言われている。
1997年 514万世帯 14.4%
2002年 656万世帯 18.7%

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02月27日(水)
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