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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 国民健康保険料の滞納・恐ろしいデータ
 保険料は近年引き上げが続いている。84年に国保財政への国庫支出が45%から38.5%に削減されたことや、近年行われた税制改正に伴う公的年金などの控除縮小のためだ。

 大阪社保協の事務局長・寺内順子氏は調査結果について「国保はそもそも保険料負担が困難な低所得層が加入している保険であることがさらに明確になった」と指摘する。その上で、「所得200万円未満といえばいわゆるワーキングプア。食費や家賃を払えば手元に何も残らない。高い保険料を払うために、これ以上一体何を削ればいいのか」と意見。「国保保険料の滞納者を責めることなどできない」と怒りをあらわにしている。

 そのような窮状の中でも、自治体による厳しい保険料徴収の手が止むことはない。全国で差し押さえも相次ぐ。たとえ高い保険料を納めたとしても、窓口負担3割が重くのしかかり、結局受診が困難になってしまう。
 また、医療からの“排除宣告”ともいえる資格証明書の発行は特に深刻だ。06年度時点で、発行を受けている人は全国で34万285人。某自治体の国保担当者は発行について「払えるにもかかわらず払わない人のみを対象にしている」と弁明する。だが同時に、「自治体の裁量で実際には大きく異なる」とも吐露。寺内氏も「個々の世帯の事情を考慮しているところがある一方、滞納があれば一律に発行する自治体も多い」と明かす。

 「国保は61年の開始当初から所得の低い人たちを対象にしていた。大企業や大資本家からの資金流用がないため、国の制度運営の下きちんと彼らを支える。そういう精神がそもそも基調にあった」。そう話すのは、中央社会保障推進協議会の事務局次長・相野谷(あいのや)安孝氏。だが、この半世紀の間における産業構造の急激な変化に伴い、加入者の職業構成が激変。加入者の約半数を占めていた農林水産業の従事者が大幅に減少する一方、退職した高齢者や非正規雇用者など低所得者の受け皿になっているのが国保の実態で、「低所得者たちを支えるという当初の精神を維持できなくなっている」のだという。

 相野谷氏は「国は、法律できちんと制度運営を行うよう定められているにもかかわらず、加入者に負担をただ強制するだけ」と国の姿勢を批判。「加入者がきちんと払うことのできる保険料額にしなければならない。そのために、国は早急に国保財政への国庫負担を引き上げることが必要だ」。

 高い保険料負担を求め、各地で人びとの生活を脅かしている国保制度。果たして制度自体に問題はないのか。現状を受けて、厚労省保険局国民健康保険課の担当者に聞いた。
 担当者は、低い所得にもかかわらず高い保険料を負担しなければならない状況について「各自治体で算定方式も異なり負担金額もさまざまなので、一概には言及できない」と明言を避けた。また、保険料を払いたくても払えない人がいるという指摘に関しては「低所得者には減免措置を設けており、生活保護もある。『払いたくない』という人と見分け、きめ細かに対応している」と説明。そうした上で「国保は保険であるため、みんなが出資し合って助け合うということが前提」と話す。
 さらに、国庫負担の引き上げを求める声に対しては「そういう指摘が各方面からあることは承知している。しかし保険である以上、主たる財源は保険料であるべき」と主張。「健康保険などさまざまな医療保険がある中で、税金を用いて国保ばかりに大幅な補てんをすることが納得を得られるのか」と投げかけ、「国庫負担は全体の給付費水準の50%は維持している。いまのところ国庫負担の引き上げは考えていない」と述べた。
 このほか、自治体同士が低所得者の数に応じて保険料額の一定割合を補てんし合う「保険基盤安定制度」などを紹介し、現行の制度運営が適正であることを強調している。


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02月14日(木)
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