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『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■ 仮想水(バーチャルウォーター) について
東大生産技術研究所の沖大幹教授の試算によると、牛肉は1キロで20トンの水が必要だ。牛の飼料を育てるのに水を使い、牛も大量の水を飲む。牛丼1杯当たりに2トンもの水が使われている計算だ。
日本は世界から大量に食糧を輸入しているので、仮想水の輸入量も世界一である。世界で水の不足や汚染がひどくなれば、たちどころに日本の食卓にも響く。世界で起きる水問題は、決してひとごとではないのだ。
そんな問題意識もあって、大分県別府市で開かれたのが、初めての「アジア・太平洋水サミット」である。福田首相ら36カ国・地域の首脳らが出席し、「別府からのメッセージ」を採択した。
安全な飲み水を利用できない人たちを15年までに半減し、25年までにゼロにする。各国は途上国に手を差し伸べるために、ただちに行動を起こす。そんな目標が掲げられた。
アジア・太平洋地域は、面積が広大で人口も多い。それだけに各国が解決すべき課題も様々である。
洪水や津波の被害もあるが、最も深刻なのは水の不足と汚染だ。国連がまとめた報告書によると、安全な水を飲めない人は世界で12億人にのぼり、このうち約60%がアジア・太平洋地域で暮らしている。トイレなどの衛生施設を持たない人は世界で24億人、その70%以上をアジア・太平洋地域で占める。
今回の水サミットを機に、開催国である日本に対し、途上国の期待は一層高まるだろう。食糧とともに仮想水を大量に輸入している国としても、きれいな水を作ることに協力し、仮想水を途上国に還元することを考えたい。
その際、水不足の対策にはダムを、水質汚染には下水道を、といった対応がすぐに思い浮かぶ。だが、いずれも巨額の費用がかかる。そのうえ、大きなダムは環境を破壊する恐れもある。
参考にしたいのが、たとえば、アフガニスタンやパキスタンで医療や農業の支援活動を続けている市民団体「ペシャワール会」の取り組みだ。
アフガニスタンでは、飲み水を確保するために掘った井戸は1500本にのぼる。農業用水路は第1期の13キロが完成し、砂漠化した千数百ヘクタールの大地を潤した。この事業は延べ38万人の住民の働き口をつくることにもなった。
ほかにも、水の浄化や節水、海水の淡水化などで蓄積してきた様々な技術を役立てることができるにちがいない。
安全な水をなかなか手にすることができない人たちに思いをはせ、何ができるかを工夫する。「別府からのメッセージ」を、そのきっかけにしたい。
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仮想水(バーチャルウォーター) 詳細解説
農産物の生産や製品の製造、輸出入することは、その際に必要となる水(仮想水)を、購入者が間接的に消費したことになる。たとえば、日本は多くの農産物を輸入しているが、輸出国では栽培のために水が消費されており、それを仮に国内で栽培しようとすると多くの水、すなわち仮想水が必要となる。この、農産物の輸入によって日本が節約できた水資源を仮想水と呼ぶ。ロンドン大学のアラン教授によって1990年代初頭に提唱された。農産物などの輸入(移動)による水資源が足りない地域における水資源の節約や水資源の自給率向上の議論などで使用される考え方である。食パン1斤ができるまでに必要な水は500〜600リットル、ステーキ200グラムが食卓に届けられるのに必要な水は、約4000リットルであるといわれている。東京大学の沖大幹助教授らは、仮想水の総輸入量は約640億立方メートル/年と推計しており、これは、日本国内での総水資源使用量約900億立方メートル/年の3分の2程度にあたる。また、そのうちの約6割がアメリカからであると推計している。ミネラルウオーターなどの輸入量は2000年において年間19.5万立方メートルであることから、年間3000万トンに及ぶ輸入食糧に含まれる間接的な水量は、直接的な水の輸入量よりはるかに多いものと考えられる。ただし、単位面積あたりの収量は環境によって異なるため、ある製品の単位量を生産するのに必要な水量は、国によって異なることに注意が必要である。
12月20日(木)
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