ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
[257968hit]

■初の「自殺白書」 9年連続3万人超 
 この男は、携帯電話の自殺サイトに書き込みをした女性に大量の睡眠導入剤を飲ませ、ポリ袋を頭からかぶせて窒息死させたとされる。女性のアパートからは本人の携帯電話や部屋の鍵がなくなっていた。警察は、犯行への関与を隠すために男が持ち去ったとみており、周到に計画した殺害だったことがうかがえる。
 気持ちをより重くさせるのは、二十万円の見返りで殺害を請け負ったとみられることだ。
 自殺サイトで知り合った相手を殺害する事件は過去にもあった。二年前には、神戸の男子中学生ら男女三人を殺害した男が逮捕され、死刑判決が確定しているが、この事件は、人の死への異常な関心が引き起こした殺人だった。自殺願望者と金銭取引をした例はほとんどない。
 「死にたい」と思うまで追い詰められた心理に付けこんで利益を得ようとする。冷酷な打算には、背筋が凍る思いだ。
 男は自殺の方法を教えるサイトを自ら開設し、ほかのサイトにも「復讐(ふくしゅう)、薬、自殺幇助(ほうじょ)、何でも致します」などと書き込んで違法行為の勧誘を繰り返していた。当初から自殺願望者を金もうけの対象と考えたことは間違いないだろう。
 問題は、こうした利益目的の犯罪がネット上で拡大、増殖しているように思えることだ。この八月には「闇の職安」で知り合った三人の男が金銭目的で女性を拉致、殺害する事件があった。
 誰もが情報の発信者や受信者になれるネット社会は、表現の自由があってこそ成り立つ。その自由を悪用した犯罪が許されないことは言うまでもない。
 ただでさえ、自殺の多発は日本の抱える病理とされる。そうした病理に乗じた「闇のビジネス」を封じ込めるには、警察や関係業界による監視、摘発だけでなく、社会全体で目を光らせることが大切だろう。
 異様な書き込みを見かけたら、サイトの管理者に削除を求める。違法行為に気づいたら警察に通報する。そうした手だてを尽くし、健全な社会を守らねばならない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ネット殺人 異様な世界が膨らんで
10月12日(金) 毎日新聞
 またネットを利用した殺人事件が起きた。自殺サイトに投稿した長野県出身で、神奈川県に住んでいた若い女性から頼まれ、殺害したとして千葉県の男が嘱託殺人の疑いで逮捕された。
 ネット殺人が次々と起きることに衝撃を覚えるとともに、ネット社会の暗部をあらためて思い知らされた。ネットが舞台の犯罪は深刻化しているようにもみえる。もどかしさが募るばかりだ。

 警察の調べだと、容疑者の男は昨年6月に自殺の方法を教える携帯電話の掲示板サイトを開設。殺された女性はことしの4月5日、このサイトに「死にたい」という趣旨の書き込みをした。
 男はその1週間後に女性のアパートに行き、多量の睡眠導入剤をのませ、頭にポリ袋をかぶせて窒息死させた疑いが持たれている。
 驚くのはこの男が匿名で、商売のように自殺志願者を募っていたことだ。複数の掲示板に「合法、違法を問わずどんな仕事でも請け負います。復讐(ふくしゅう)、薬、自殺幇助(ほうじょ)…何でも致します。詳細、料金はHPまたはメールにて」と書き込んでいた。
 実際、女性からは報酬とみられる20万円が容疑者の口座に振り込まれていた。金目当ての犯行だった疑いが強まっているが、なぜネット犯罪を思い立ち、どのような思いで利用したのか、動機や経緯など徹底的に調べてもらいたい。
 被害者の女性はインターネットに熱中していたという。会員制サイトに自己紹介を掲載したり、殺害される直前にも仕事や友人について日記を公開したりしていた。
 ネットに依存する若者は急速に増えているようだ。関西学院大教授で、精神科医の野田正彰さんは以前、本紙夕刊の「今日の視角」で、狭いディスプレーのメッセージに集中することで判断力が排除され、相手から「指示されたイメージのみが現実性を帯びる」と、メールなどネット上のやりとりの中にひそむ危険性を訴えていた。

 利用者はあふれる情報に無防備のままで、業界も安全対策に関心が高いとは言えない状態が続いている。これでは、今回のような悪質なネット犯罪をなくすのは難しい。

[5]続きを読む

11月16日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る