ID:22831
『日々の映像』
by 石田ふたみ
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■児童養護施設の職員の低賃金。
 大塩孝江委員(全国母子生活支援施設協議会副会長、倉明園施設長)は「母子生活支援施設も他の児童福祉施設と同様に職員の配置数が少ない。365日、宿直をしながら日々を回しており、職員のボランティアに頼っているのが現状だ」と述べ、職員の身分保障が人材確保にとって不可欠であるとした。

 今田義夫委員(全国乳児福祉協議会制度対策研究委員会委員長、日本赤十字社医療センター附属乳児院施設長)は看護師確保に苦しんでいる状況を説明。今田委員は「昨今の看護師不足の影響で、病院などから施設の看護師を引き抜かれている。乳児院には看護師の力が必要なので困っている。何か特別な施策をお願いしたい」と訴えた。

 藤井美憲委員(全国児童家庭支援センター協議会副会長、愛泉こども家庭センター施設長)は子どもの権利を擁護するためには人員配置など職員の待遇改善が必要であると主張した。
 藤井委員は「施設内の虐待や加害の改善は『待ったなし』の状態で、危機感を持って臨んでいる。改善策として毎月20日に職員が子どもから聴き取り調査をしているが、職員が聞き流して放置されてしまう場合もある。子どもの安全確保を最優先するためには人員配置などの見直しが必要だという議論に持っていかないと、権利擁護システムはつくれない」と訴えた。

■ 待遇改善で子どもの権利は守れるか
 吉田委員は「待遇を良くすると同時に、待遇に見合う資質の向上が必要だ。高い評価を受けるためには高い倫理性が求められる。ここを押さえないと社会的な反感を買うだろう」と指摘し、第三者評価制度や内部通告制度などによって施設の透明性を高めるべきであると主張した。

 これに対して、藤野興一委員(全国児童養護施設協議会副会長、鳥取こども学園施設長)は猛烈に反発。藤野委員は「職員の配置基準見直しの議論を抜きにして都道府県の監視を強めると、現場は混乱してしまう。施設ではむしろ子ども同士の加害・被害の関係が深刻であり、高齢者虐待防止法をモデルにした案には賛成しかねる。子どもと老人では構造が違う」と述べ、職員の待遇改善を優先すべきであるとした。

 一方、高田治委員(全国情緒障害児短期治療施設協議会幹事、横浜いずみ学園施設長)は、施設内の自助努力による虐待防止は困難であるとの見方を示した。
 高田委員は「子どもたちは『職員に訴えても何も改善してくれない』と諦めている。施設の中で施設を変えようという発想ではなく、施設をサポートする機能をどう構築するかという方向に目を向けるべきだ」と述べた。

■ 意識改革が必要か
 榊原智子委員(読売新聞東京本社生活情報部記者)は「児童福祉のために世の中から財源を持ってくるという決断をするならば当然、児童福祉施設の近代化は避けられない。(資金援助などを)主張するなら、説明責任や情報公開もセットになる」と述べた。

 柏女委員長は「こうした委員会が議論すると同時に“業界”がもっと議論すべきだ。例えば、児童の分野だけ倫理交流がない。母子生活支援施設や保育所などにはあるのに、児童養護施設や乳児院など社会的養護の分野だけ職員の倫理交流がない」として、内部での議論を求めた。

 「規制されると現場は混乱する」という意見は、実務に携わる者には共感できるものがあるだろう。職員の待遇改善は制度設計の大前提かもしれない。
 しかし、福祉施設の職員に高いステイタスを与え、高給を保証すれば虐待がなくなるのだろうか。「職員の待遇が悪いこと」と「児童を虐待すること」との間に因果性はあるだろうか。

 この日の会合は、各委員が自身の思いを延々と“講演”する場面が目立った。ぜひ、制度全体を見わたした改善策を提言し合うような話し合いを求めたい。
 また、厚労省は児童養護システム全体を総合化した“デザイン”をもっと明確に出していくべきだろう。今後の議論に期待したい。

更新:2007/09/27   キャリアブレイン
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虐待防止へ関係者が集結

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09月28日(金)
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