ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■翻訳企画:AAの回復率(その2)
成功を計る基準としてソブラエティの長さを用いる
回復の「成功率」を比較するにあたっては、「成功」という言葉の意味が多くの研究者や評論家の間でまったく定まっていないことを理解しておかなければならない。

あるAAメンバーが5年間アルコールを口にしていなければ、ほとんどの評者はそれを成功と判定することに異論はないだろう。その場合、ソブラエティ(断酒)が最初にミーティングに参加した日に始まったのか、それともそれより相当後になってからであるかは問われない。5年間しらふでいることが重要なのである。

現在ではどこでもAAを見つけることができる。そのため多くの人たちが、アルコホリズムの下り螺旋の底に達するよりずっと早くAAにやってくる。彼らが最終的にAAを必要としAAを求めるようになる頃には、AAが何であるかすでに知ることとなっている。そのことは、1970年に出版されたパンフレット「AAサーヴェイ(The Alcoholics Anonymous Survey)」にも記されている。これは1968年に行われた最初の調査について報告している。(注:引用中にある表3および表4は本論に含まれていない)。

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ソブラエティ(断酒)期間の長さ
表3:最後の飲酒から経過した期間
ほとんどの人は、AAにやってきてから後のある時点から酒をやめている。それは最初のAAミーティングへの参加より後になる。酒をやめるのは、最初のミーティングの一週間後かもしれないし、一ヶ月後、一年後ということもありえる。しかしいったん断酒が達成されると、その大多数は飲酒に戻らないことが経験上示されている(強調は引用者による)。

AAは、しらふになった後に、飲酒することなく正常な生活に戻り、一杯の酒も飲まずに一生を終えたアルコホーリクの統計を取ってはいないが、私たちはこれがAAプログラムを受け入れた人の標準的なパターンであると推定してよい。

AAはこのように継続したソブラエティ(断酒)を成功と見なしている。ソブラエティとはアルコホーリクが飲酒することなく普通の生活を送ることである。しかしながら、医学・科学のコミュニティにおいては、成功の判断にあまり多くを求めない基準がしばしば用いられる。頻繁に用いられるのは、完全断酒1年という基準である。

この標準を用いれば、アメリカおよびカナダ国内のAAミーティング会場ではどこでも多くの断酒成功例に出会えるだろう。

AAミーティングで調査票を記入した11,355人のメンバーのうち60%が、1年以上アルコールを飲んでいないと回答している(強調は引用者による)。次に示すデータによれば、残りの40%の多数はニューカマーであって、すでに酒をやめているか、最初のミーティングからそう長くない後に酒をやめると想定される。

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AAが効果を示すまでの期間
表4:最初にAAを訪れてから酒をやめるまでの期間の長さ
AAの機能を示すもうひとつの指標は、調査回答者の41%が最初のミーティングの直後に酒をやめ、また23%が1年以内に酒をやめている(合わせて64%)という事実によって示される(強調は引用者による)。

女性の調査回答者の68%が最初のミーティングから1年以内に酒をやめたとしているのに対し、男性は63%である。また30才未満の回答者の74%が最初のミーティングから1年以内に酒をやめたとしているのに対し、30才以上では63%となっている。

調査対象者の中にはまだ断酒に成功していない人もかなりいるが、彼らの回復を絶望的だと見なすAAメンバーはまずいないことも述べておかなければならない。ほぼ、あるいはまったく酒がやめられないまま何年間もAAに出席を続け、最終的には断酒を達成した、という人をAAメンバーの多くは少なくとも一人は知っている。(酒がやめられないアルコホーリクがいても)その人がまだ生きているうちは、まだAAが効果を現していないだけだと、AAメンバーの大多数は考えるだろう。
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(続きます)

01月25日(日)
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