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ひぽこんコラム
by 和田
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■統合失調症がやってきた
PS:↓その後、この編集から電話あり。私が書評をやることになりました!! まだ精神科医には依頼をしてはなかったそうです。おおおっ。怒り勝ち?
昨日の夕方のこと。うちのパン屋でパンを買って、川内ありおさんの実家に遊びに行こうとしてたら、電話が鳴った。出たら、ちょっと前に「この書評をやりませんか?」と営業してた編集の人から。
本は「統合失調症がやってきた」という、松本ハウス@お笑いコンビの書いたもので、片方のハウス加賀屋が中学生から統合失調症で、ボキャブラとかで人気絶頂の中で再発、闘病し、復活を果たした、その道程を相方の松本キックが書いたやつだ。
これ、本当に良かった。ものすごい良かった。松本ハウスの、あの切れ芸、ハウス加賀屋が加賀屋でえええええええええええす!とドカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンと画面に出てくるだけで、もう、画面から本当に飛び出してきそうなほどに迫力あって、すんげええ笑ってたんだけど、あの爆発的なパワーの底に統合失調症があったんだ、と思うと、もう、すごい胸がキュンとした。
彼が発病したのは中学生のとき。幻聴が始まって、何がなにやら分からなくて辛くて辛くて。その前、本当に優等生だった時代があって、彼は自分を抑圧して、抑圧して、それを解放したはずだったのに、発病してしまった。抑圧と解放と発病。それは順番にやってくるんじゃないんだと知った。
そして芸人として大成功してる中で発病して、もう、一声も出せないほどにひどくなって、閉鎖病棟に入院して、そこは読んでいて涙が出るような本当に閉鎖されている場所。異様に狭くて窓もなくて、ドアには内側にドアノブがない。つまり、自力では脱出不可能。恐ろしい監獄みたいな場所だ。その息苦しい場所で、彼は部屋の中をグルグルする。隣の同じような部屋には叫ぶ人がやってきて、その叫びを聞かされ続ける。
医者もひどくて、極度の副作用が出ても注射ばかり打たれて、彼は舌が震えて震えて食事も満足に出来なくなって衰弱してしまう。だけど、奇跡的に医者が代わり、それによって少しずつ良くなる。
そして、復帰する。
でも、復帰しても、今もテレビにはあまり出ていない。彼らを見るのはバリバラ(障害者の番組)ぐらいで、フツーのお笑い番組でまだ松本ハウスを見てない。トークショーやら「統合失調者」としてTVや雑誌に出演することはあっても、MXとか千葉テレビとかでしか「お笑い」としてはまだ出させてもらってない。
いじりにくいとか、そういうのがあるんだろう。あの人は病人、統合失調症の人をどういじったらいいのか、どこまでいじったらいいのか分からない。下手したら、視聴者から抗議がくる、危ない。止めておこう、TV制作社側の思いは、そんな感じじゃないかな。
もちろん、お笑いのレベルが下がったとか今のお笑いに合わないとかもあるのかもしれない。正直、ネタはバリバラで1〜2度見たが、それはフツーだった。でもフツーであり、つまらないわけじゃない。それにフツーのレベルのネタなんてザラだ。てか、ネタなんたもう、ほとんどTVではやらなくて、お笑いの人はみんなトークばっかりだし、今は。だから、トークでからみづらい、ということでまだフツーに「ひな壇」には置いてもらえないのだろう。統合失調症患者への扱いのハウツーがテレビにはない。それが、テレビにおける統合失調症患者のお笑い芸人の現実。人気が出る前にも演劇評論家とやらに「障害者を出しちゃダメでしょう」と言われたらしい。
で。昨日の編集者は「本はすごく良かった。ので、これは精神科の専門の先生に批評してもらうことにしました」というのだ。
はっ?
何それ?
それ、私が出した企画じゃん。私が言うまで、その人はその本のことを知らず、読んで、感動したとか言ってた。企画だけ盗んで、ライターはサヨナラって、仁義に反するだろ? それはやっちゃダメなことじゃん?
1回は電話を切ったが、どうしても腑に落ちなくて電話した。そして言った。
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10月02日(水)
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