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つらつらきまま
by seri
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■「出会いは必然 出会いは感動」

事前に一日休を申請していたので、今日はお休み。
 何故今日休むことを申請していたかというと、「笑福亭鶴瓶JAPAN TOUR WHITE」の開演時間が18時で、普通に仕事を終えてからだと確実に間に合わないため。
 午後休も考えたが、迂闊に午前出社して面倒くさい仕事が発生し、午後休が無かったことになってしまう懸念もあったので、思い切って1日休にした。
 もっとも起床時間はいつもと変わりなかったが、天気がいい日に布団を干せたり、朝の慌ただしい時間をのんびりと過ごせたりと、晴天の平日をゆっくりと満喫。

16時半からnaoさんと上野で待ち合わせていたので、MDやコピーを渡す。
 1時間ほど、エチカ上野のカフェでお茶をする。
 ホルモンバランスを崩してからはなるべくノンカフェインティーを飲むようにしているが、嬉しいことにカモミールティーがあったので注文。
 甘いものも久しぶりに食べた。

今日の会場である浅草公会堂には17時40分ぐらいに到着。
 今さらグッズ販売で小金を儲ける必要が無い鶴瓶さんなので、物販はもちろん、パンフレットも無し。
 自分の席に着くまで花輪の名前をチェックしていたら、月亭方正の名を発見。
 鶴瓶さんから「宮戸川」の稽古をつけてもらった方正さん。
 方正さんからこの噺の稽古をつけてもらったら、鶴瓶さんの噺を受け継ぐということにもなる。
 肉体はいつか滅ぶけど、噺が途絶えない限り、噺の中で噺家は生き続ける。
 ここに落語のロマンを感じる。

オープニングは鶴瓶さんの一人語り。
 今日は「縁」について語っていた。
 人間は誰かとどこかで繋がっていて、無駄な出会いはない、と。
 日本国民の4分の3ぐらいとはつながりがありそうな鶴瓶さんが言うと、説得力があるような無いような。
 今日のゲストの立川談春師とは、まだ談春師が二つ目の頃(=鶴瓶さんが落語に目覚めていなかった頃)、さだまさし氏から紹介されて以来の付き合いという。

長講を頼まれていた談春さん。
 これを知った時、(「文七元結」かなぁ。「文七〜」だったら良いなぁ)と淡い期待を抱いていたら、まさかのビンゴ。
 自分の直感に若干鳥肌。

 談春さんの「文七元結」はCDで聞いたことがあるが、その時は、吉原の女郎屋「佐野槌」の女将の凛とした感じが非常に印象的だった。
 今日の文七〜も、この凛とした感じは健在だったが、長兵衛夫婦の喧嘩の場面など、CDでは気づかなかった笑いどころも多く、今日を選んで良かったと思った。

仲入り後は鶴瓶さん。
 私は「たちぎれ線香」を予想していたが、ヤタケの熊が出てくる「らくだ」が始まったので、思わず小声で「えっ、今日も?」とつぶやいた。
 昨日の会(ゲスト:桂南光師)でも「らくだ」をやったと聞いたので、まさか二日連続「らくだ」が来るとは予想外だった。

 鶴瓶さんの「らくだ」は嫌いではないが、今まで聞いたことがある「鶴瓶のらくだ」は紙屑屋がクダを巻いて豹変し立場が逆転する後半に入るまでは単調な感じで、面白さは100点満点で言うと70〜80点という印象だった。

 しかし、今日聞いた「らくだ」は、前半部分のちょっとしたセリフや動作に、気弱そうに見えて割と図太くしたたかな紙屑屋の本性が見え隠れしたり、紙屑屋がどんどん横暴になるのと反比例してヤタケの熊の威勢の良さがしぼんでいく様子が全く不自然ではなく、(あぁ、これは本当に「鶴瓶のらくだ」だ。「らくだ」が鶴瓶さんのものになった)ということを随所に感じた。
 以前見た時と比べて変わった部分はそんなに多くないのに、噺から受ける印象は以前と比べると大幅に変わり、「らくだ」という噺の面白さが分かった。
 「鶴瓶のらくだ」を進化させるため、たくさんの稽古や手見せをこなしたのだろうと思うと、感嘆する。
 (あぁ、この人の芸を好きになって本当に良かった)と、心の底から思った。

「鶴瓶のらくだ」は「鶴瓶版死神」同様、二段オチ。
 最初のサゲでは拍手をせず、二段目のサゲでいつも拍手をしているが、(私はこの噺は二段オチだと知っているから)という自慢するようなことでもない自分の優越感が、何故か今日は鼻についた。

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09月10日(木)
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