ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■やんぽう通信から
ぼくが「ミエコ、お前暇なんか?」と聞くと、ミエコは「だって、することないもん」と言った。
「なんかあるやろうが」
「ないもん、バーカ」
その当時は、ミエコも少し知恵をつけたのか、減らず口を叩くようになっていた。
「ふーん、することないんか。じゃあ」と言って、ぼくはT君に目配せした。
そして、二人でミエコを抱え上げ、そのままゴミ箱にお尻から突っ込んだ。
ミエコはお尻だけゴミ箱に入った状態で動けなくなった。
「暇なら、しばらくそうしとけ」
「出して」
「出たけりゃ自分で出れ」
ミエコは体を揺さぶったり、手を使ったりして、そこから脱出しようとしたが、出ることが出来なかった。
「しんたのバーカ」
「あ、誰がバカか?もう出しちゃらんけの」
「あー、ごめんなさい、ごめんなさい。もう二度と言いません」
「そうか、じゃあもう少ししたら出してやる」
「バーカ」
「お、またバカち言うたの」
するとミエコは何を思ったか、その態勢で「飛びます、飛びます」と坂上二郎の真似をした。
その後も、手足をバタバタさせて、一人で遊んでいた。

ミエコには、他の人にない一つの特徴があった。
ノドチンコが二つに割れて、逆ハート型をしていたのだ。
ぼくはそれを知ってから、来る人来る人にそれを見せた。
「おーい、ミエコ、お客さんぞ」
「あ?」
「ほら、口を開けて見せてやらんか」
そう言うと、ミエコは「あーん」と言って、口を大きく開けて見せた。
見た人は、いつも爆笑していた。
ミエコは、知らない人から笑われるのを極端に嫌うタイプだった。
「もう、二度とせんけね」
と、いつも怒って売場に戻っていった。
しかし、またそういう機会があると、ぼくはミエコを呼んだ。
性懲りもなく、ミエコはノコノコとやってきた。
そしてまた、同じことを繰り返していた。


【5】
ある時、ビデオムービーの良さを社員に体感してもらおうと、担当の係が各部門にムービーを貸し出して、作品コンテストを催したことがある。
「ムービーは家に持って帰ってもいいですから、いい映像を撮ってきてください。撮ってきた映像は全体朝礼の時に流します。一番よかった映像を撮ってきた部門には賞品を差し上げます」
おそらく、賞品という言葉に釣られたのだろう。
他の部門は熱心だった。
中には本当に家に持って帰り、わざわざ遠方まで行って、風景を録画してくる人もいた。
しかし、わが部門は無欲であった。
つまり、そんなことは、どうでもよかったのである。

いよいよ発表の前日になった。
当然何も撮ってない。
ぼくとT君は、「いよいよ明日やねえ。何を撮ろうか?」と相談していた。
その時、事務所に行っていたミエコが帰ってきた。
「ちょうどいいとこに来た。ミエコ、お前モデルになれ」
「えっ、モデル?」
「おう。お前しかおらん」

さて、発表の日になった。
「今から、レコード・楽器部門の作品を流します」
ビデオが流れたとたん、大爆笑が起こった。
スタートとともに映し出された画は、ミエコがコブラツイストをかけられている画だった。
その後、ミエコをヘッドロックしている姿、ミエコがゴミ箱に収まっている姿などが、次々と映し出された。

こんなことをされたら、普通の人は会社に来なくなるだろう。
しかし、ミエコは違った。
自分も楽しんでいたのだ。
それに、どういうわけかミエコは、ぼくやT君を慕っていた。
ある日、閉店後にぼくが隣のテレビ売場で歌番組を見ていた時の話。
ミエコがドアの向こうで手招きしている。
ぼくがそこに行ってみると、ミエコは困った顔をしていた。
「どしたんか?」
「今ねえ、トイレ入っとったんよ」
「そうか」
「そこで、ちょっときばったらねぇ・・・」
「ん?」
「・・・パンツのゴムが切れた」
「あっ!?」
「ねえ、どうしょうか?」
「どうしょうかっち言うたって・・・。替えは持ってないんか?」
「あるわけないやん」
「おれも持ってないぞ」
「当たり前やん」
「他の女子社員に聞いたか?」

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10月14日(火)
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