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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ミクシィの穴/映画『奇談(キダン)』
ミクシィ内でも、巧妙な手口のスパムメールや迷惑広告、詐欺的商法が広がりつつある、という話をヨナさんの日記を読んで知る。具体的には、以下のような手法だそうだ。
〉簡単なプログラムを組んで不特定多数のミクシィ会員の「自己サイトエリア」に足跡をつけまくったり、特定のコミュニティ(特定のテーマを語り合う掲示板、グループのようなもの)のメンバーリストを抽出してそのメンバーに片っ端から「マイミクシィ」登録をしてほしいというメールを送りつけ(中略)、多くの「足跡」「プロフィール」を経由したユーザーは、そのプロフィールに書かれてあるURLを参照し、広告なり勧誘なりのページに誘導されてしまう。
「足あと」というのは、ミクシィの特徴であるアクセス解析のことである。通常のアクセス解析は、経由してきたURLは表示されても、必ずしも誰が覗きに来たかまでは分からないものだが、ミクシィの場合は、会員の名前もアクセスしてきた時間もちゃんと表示される。だから、「足あと」に見も知らぬ人の名前があれば、「この人はどういう繋がりで、なぜ私のところにやってきたのだろう?」と、足あとを辿って相手のページに行くことはごく自然な流れだということだ。
私はミクシィに参加してはいても、その「足あとさん」のページに載っているURLをクリックしたことはないので、今のところ、危ないサイトに誘導されたことはない。とりあえず詐欺には遭わずにすんでいる。しかし、それは単なる僥倖に過ぎないかもしれない。たいていの詐欺事件の場合、特に振り込め詐欺などについては、私は「なんでこんな単純な手に引っかかるのだ」と多少高飛車なモノイイをしてしまうのだが、今回はそれも言いにくい。実際、これは、「SNSであるミクシィ内だからこそ、被害を受ける可能性が大きくなる」点で、詐欺野郎の方が我々よりも一枚上手だなあと思うからだ。
普通のホームページ等と違って、ミクシィ内では「足あと」を残すことに誰も違和感を感じていない。私などには平気で見も知らぬ人のところに足あとを付けまくる人間の方が常識を忘れてしまっていると思うのだが、紹介でしか会員になれないというシステムが、自然と「ミクシィ同士の連帯感」みたいなものを作り上げていて、警戒心が薄らいでいるように見えるのである。トモダチのトモダチのトモダチはみなトモダチだっていう幻想。世間一般ではそんなのは殆ど絵空事でしかないのだが、ミクシィ内ではそれはまだ「有効」だと信じられていたようなのだ。しかし、SNSとて所詮は「現実」である。中には、カネ繋がりでトモダチになったやつだって、いておかしくはない。幻想を持っている人間ほど、現実の人間関係に疲れてミクシィに「癒し」を求めて参加した人間ほど、この手の詐欺に引っかかりやすいように思う。そしてそういう人々は、かなりの数、ミクシィ内に存在しているのではないか。
無作為に同内容のメールが何百通と送られているような状況があればそれを速やかに察知し、排除するようなプログラムをミクシィが開発すればこの騒動はいったんは休止するだろう。けれどもこういうネット詐欺の手口は、緒戦は取り締まる側と取り締まられる側とのイタチごっこに終始する。きっと、また新しく巧妙な詐欺の手口が生み出されることは火を見るよりも明らかなのだ。結局は、「個人での防衛」を考えるしかなくなる。一番効果的なのは「ネットから遠ざかる」ことだろうが、これができるユーザーが果たしてどれだけいるものか。
これは決して冗談で言っているのではなく、「今はハマッていても、いつでも自分は止められる」という「見極め」がないと、人間はそのモノに取り憑かれて、陥った「穴」から抜け出せなくなるのだ。いわゆる「妄執」に取り憑かれる、というやつである。オタクはそういう点で明らかに精神的なビョーキなんだね。
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11月28日(月)
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