ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491657hit]

■いつものビョーキが出たみたいですが/舞台『blast!(ブラスト) supported by ヒュンダイ』
 しげ、朝から体調崩す。
 いきなり朝の四時か五時に起こされて、「今日、サンパレスに行かんけん」とか言い出すので、何事が起こったかと、朦朧とした意識の中で事情を聞き質すのだが、何を言っているのか全然分からない。
 本当は、今夜しげは、福岡サンパレスで、マーチングバンド・ショー(と言うよりはドラム&ビューグルによる演奏パフォーマンス)の『blast!(ブラスト! supported by ヒュンダイ)』をよしひと嬢と見る予定だったのである。
 つい昨日までは、「明日は(夕方から舞台を見に行くから)仕事帰りに迎えに来れんけん」と楽しそうにしていたのに、いきなり「チケット譲るからあんたが行って」と言われても、私の方は当惑するばかりである。
 「どうしたん? いったい」
 「具合悪いと」
 「『今は』やろ? 夕方まで休んで、調子がよくなったらそれから出かければいいやん」
 「行っても持たんよ」
 「だからどう具合が悪いん?」
 「分からん」
 まるで埒が明かない。
 仕方がないので、チケットを譲られるが、なんだかメンタル面からちょっと怪しげな感じで、ほったらかして自分だけ舞台を見に行くのは心苦しかった。
 でももちろんチケットを無駄にするのはもったいないので、しげをほったらかして出かけることにする(外道)。
 でもね、何しろね、私ももともと行きたいことは行きたかったんだけれどもね、今月は見たい芝居が重なっててさ、ン万円もするチケットを何枚も買えるほどの余裕はなかったのよ。だからS席もあきらめて三階A席ン千円で妥協したし。

 仕事では、いきなり夕方に会議を入れられて、勤務時間内に終わるのかどうかハラハラしたが、なんとか3分押しで終了した。ちょっと走って電車に駆け込む。
 よしひと嬢からは何度かしげの容態を心配するメールが入っていたが、それまで返事する余裕もなかった。何とか電車内で待ち合わせの時間と場所を確認して、博多駅で落ち合う。女同士で楽しく盛り上がれるはずのところを、中年のみすぼらしいオヤジが乱入したようなもので。全く申し訳ない限りである。

 サンパレスの近くの定食屋で、ざるそばカツ丼(なかなか豪快なコンビネーションである)を食べる。カツの肉が安くて硬いのを卵で誤魔化そうとしている感じ。不味いとまでは言わないが、器をざるそばとカツ丼、合体させた横長長方形の弁当箱に入れて出すのはどうか。持ちにくく食べにくいことこの上ないのである。
 
 開場時間のすぐあとくらいにサンパレスに着いたが、福岡で一番大きな劇場なだけに、長蛇の列がハンパではない。ダフ屋も何人いるか分からないくらいで、「チケット買うよ」の声があちこちで連呼されている。
 指定席だから慌てる必要はないのだが、行列の最後尾にまで回ると、開演時間までまだ20分もあるというのに、間に合うかどうか不安になる。何とか10分ほどで入場できたが、パンフレットを買ってトイレに行ったら、席に着けたのが開演直前だった。
 客席は三階までの約2300席が完全に満席、立ち見も出ているようである。よしひと嬢が「凄いですね、人気あるんですね。私が知ってるくらいですから」と仰るが、これは謙遜で、舞台だけでなく、音楽、映画方面など、結構いろんな分野に幅広く目を光らせている。
 「博多駅が改装されて、シネコンが入るらしいよ」と私が言った途端に「でもシネ・リーブルは大丈夫ですよ(=潰れたりしませんよ)」なんて返してくるし、だいたい「マンガ同人誌を買い込んだ紙袋を持ってコンサートホールに乗り込んでる客」なんて、この劇場中に彼女以外にいないことはまず確実である(笑)。

 舞台は素晴らしいの一語に尽きた。
 日体大の行進パフォーマンスに似てるなあ(笑)、とか感じたのは実はそう的外れでもなくて、パンフレットの解説によれば、『ブラスト!』のルーツは軍隊の訓練行事で、それが「ドラム&ビューグル・コー」と呼ばれる集団パフォーマンスに発展したものだとか。

[5]続きを読む

09月30日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る