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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ボケボケ大行進/『毎日かあさん』2巻「お入学編」(西原理恵子)
いつもの、しげのボケ三題。
新しい職場に変わって、しげが何だか浮ついている。転勤したのは私であって、しげではないのだが、何かやたらと「プレゼント」をしたがるのだ。
こないだから博多駅やらキャナルやらに行くたびにあちこちのファンシーグッズの店を覗いては何やら物色している様子なので、「何、探しとん?」と聞いたら、「弁当箱」と言う。
「かわいい弁当箱と、それを入れるかわいい手提げがほしいとよ。ミッフィーのがあればいいっちゃけど、いいのがないと」
「……誰がそれを使う?」
「あんた」
「オレは要らんぞ。何で四十過ぎたオッサンがそんなの持って歩かにゃならんか。不審人物と間違われるわ」
丁々発止の末、何とかミッフィーの弁当箱を使うことは回避したが、今、私が持たされている弁当箱はウルトラマンキッズである。
二つ目。
このしげの「プレゼント癖」はやはりビョーキと呼ぶしかないくらい激しくて、油断するとどんどん不必要なものばかり買ってくるのである。
もう何度も何度も「要らないから買ってくるな」と言っておいたのに、「薄型でいいの見つけたよ」と言って無理やり持たされたのが、「折り畳み傘」である。
これで私の鞄には、折り畳み傘が“三本”仕舞われることになった。
で、私の鞄を持ったしげが言ってくれた台詞がこうである。「重いよ。無駄なもの入れとかないで置いてったら?」
……傘、置いてくぞ。
最後の一つ。
しげが突然、「あんた、何でオレの秘密、知っとるん?」と、唇をとんがらせて聞いてきた。言葉だけを聞いたら何だかえらく隠微である。まるで私がしげをストーカーしているみたいではないか。
「なんのことだよ、いったい」
「日記に書いとったやん。オレがこっそりコンビニ弁当食べてるって。せっかく隠しといたのに」
「何だそんなこと……って、お前なあ、部屋の中、食いかすだらけにしといてバレないとでも思ってたのか?」
「思ってた」
バカである。ほかにも私は、しげがヒミツにしている“つもりの”あんなことやこんなことも全部知っているが、いちいち調査なんかしなくても、しげの行動したあとの“痕跡”がいたるところに散乱しているのである。メシ食ったあとに米粒が口の端にくっついてるようなものだ。観察力のある人間なら、その日しげが何を食ったか、「匂い」でわかってしまうだろう。つか、牛肉か豚肉か鶏肉か、カレーかラーメンか、その中から選べばいいのだから、推理するほどのものでもないけどね。
さて、転勤してトンガリさんとはめでたく縁が切れた私であるが、もう一人の既知外さんは、予測していた通りの行動に出られた模様である。
出勤してみると、机の上に見覚えのあるワープロ印字のハガキが一葉。送り主の名前は、この職場に以前勤めていたある人物の名前になっているが、私とは全く面識がない。もちろん送り主はホモオタさんで、他人の名前を騙っているのである。今日になって初めて知ったのだが、ホモオタさん、五年ほど前までこの支社に勤めていたのだ(もちろん使い物にならなくて追ん出された)。
本文はかなり社内の事情について詳細に書かれているので、そのまま紹介することはできない。かいつまんで内容を記せばこんなとこだ。
「あなたはホモオタさんと知り合いでしょう。ホモオタさんはそちらの支社に勤めていたとき、○○さんのカメラとか○○さんのパソコンとかを借りたまま返さずに着服しています。あなたからホモオタさんに返却するように言ってやってください」
……関わってほしいんだなあ(苦笑)。こんなにモテたことは、私の一生において数えるほどしかないぞ。最初に出会ったのがまだ私が20代前半のころだから、もう二十年になる。よくもまあ、かつての一念をしつこくしつこく持ち続けられるものだ。でもどんなに思われても相手がホモで(正確にはバイらしい)オタクで既知外だから嬉しくも何ともないけどよ。
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04月05日(火)
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