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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■死んでもゲーム/舞台『BIGGER BIZ 〜絶体絶命!結城死す?〜』
 『ウルトラマンネクサス』、もう19話まで行っちゃってんだなあ。
 カメラマンさんが怪獣(ビーストなんて言いたかねえよ)に踏んづけられて死んじゃったれど、別にジラースへのオマージュじゃないよなあ(^o^)。前作『コスモス』がなんだか「憎むな殺すな許しましょう」みたいな甘ったるいお話しで顰蹙買った反動か、どんどん辛気くさい話になってるけど、妙にシリアスなストーリーに影響を与えたと思しい平成仮面ライダーシリーズが、新番の『響鬼』ではかなりおふざけな色合いを前面に押し出していることを考えると、せっかく復活した新生ウルトラシリーズ、何となく当てた褌を外されちゃった感がなくもない。
 そう言えば、劇場版『ULTRAMAN』のラストで、『ULTRAMAN2』の予告が流れたけれども、これが今度阪神大震災10周年祈念に合わせて作られるっていう次回作のことなのかね?


 昼から天神西鉄ホールで舞台『BIGGER BIZ 〜絶体絶命!結城死す?〜』。
 後藤ひろひと脚本、G2演出による『BIG BIZ 〜宮原木材危機一髪!〜』に続くシリーズ第2弾。1作目を見ていないので、話についていけるかどうか心配していたが、殆ど杞憂。何しろ松尾貴史(未だにキッチュと呼びたくなる)が出てきただけで舞台空間がいきなり「いかがわしく」なってしまうのだから、これまでの背景などの説明は一切無用と言ってもいい。そこにいるだけで他人の神経を逆撫でし、事態を紛糾させ、破壊と混乱を呼ぶトリックスターを造形することは日本的なしっとりした風土の中ではなかなかに難しいことなのだが(『寅さん』だって、人情に流れないと話が成立しない)、舞台をシンガポールという怪しさ満載のトチに設定したおかげか、シメっぽい要素はカケラもない。よくもまあこういう純粋にピカレスクなシチュエーションコメディが作られたものだと感心する。三谷幸喜が失速気味な今、舞台でのコメディはこの二人のコンビが一番旬じゃなかろうか。

 かつて電話一本で幽霊会社を設立して100億円を稼ぎ出した「ドリームチーム」の面々は、今はバラバラになってそれぞれの生活を送っていた。
 「結城ビッグ・ビズ・エンタープライズ」の社長に収まっていた結城(粟根まこと〈声のみ出演〉)は、新入社員・加賀(坂田聡)を連れて、ミラノの大富豪デルベッキオの代理人・川島(三上市朗)との取引契約のためにシンガポールのある古ホテルの一室にやってきていた。偶然にもそのホテルのオーナーはかつて「ドリームチーム」の一員だった絵描きの神崎(後藤ひろひと)。さらに商店街の懸賞に当たったという結城の天敵・いい加減男の健三(松尾貴史)もホテルにやってきていた。かつて健三に散々翻弄された結城は彼に出会った途端に発作を起こし、気絶してしまう。大パニックに陥った加賀は、健三と相談して何とか事態を収拾しようとするのだが……。気弱で押し出しの効かないマニラ支店長・青木木太郎(八十田勇一)は勘違いの連続で更なるトラブルをまきおこし、天才ハッカーの皿袋(松永玲子)はインターポールに追われていたのがなぜか仲間の危機を察知して駆けつけてくる。しかし実はこの契約のウラには、とんでもない陰謀が隠されていたのだった!

 実直で融通が利かない新入社員を演じる坂田聡が、トリックスターである松尾貴史や松永玲子によってどんどん狂気の世界に引きずりこまれていく過程は、まさしくマルクス兄弟以来のナンセンスコメディの醍醐味である。個性的なキャラクターが交錯しドラマを盛り上げていくアンサンブルの具合は実に見事だが、その中でもやはり光っているのは松尾貴史の狂いっぷりだ。ジンバブエ歌劇団の衣裳を次から次へと取り替えて、悪魔、法王、アラブのテロリストと千変万化、更には声色を駆使して詐欺を働いていく様は、ゾクゾクするほどの快感。シナトラ狂いの後藤ひろひととトム・ジョーンズ狂いの三上市朗の「どっちが上か」対決も無意味で可笑しい。
 そうそう、この芝居、コン・ゲームドラマとしても実に周到に出来ているのである。だもんでトリックとかそういうのを詳しくはバラすわけにはいかないのだが、DVDが発売される予定なので、ご興味のある方は御購入してみていただきたい。通販しかないとは思うけど。



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02月12日(土)
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