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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■血の海の涙
早朝から「シネテリエ天神」で、今日から公開の映画『バレエ・カンパニー』を見る。
いつものようにせっかちなしげにせっつかれて時間より30分も早めに着いてしまったので、コンビニで焼き肉お握りとフライドチキンを一本買って、映画館の前の道端で、花壇の煉瓦の上に座って食べる。往来で何だかみっともないように思われるかもしれないが、場所が親不幸通りだから、大して違和感はない。夜になればもっと小汚い連中がところ狭しとジベタリングしている場所なのである。
「シネテリエ」も、名前とは裏腹に、ビルの地下に潜らないと行けない秘密クラブのような雰囲気のたたたずまいなのだが、上演開始を待って並んでいる客がなぜかみんなデブ。しげが「今日はデブの日?」とか言うが、じゃあオレたちはデブじゃないんか、と苦笑する。
ロバート・アルトマン監督と言っても『M★A★S★H』のころからの映画ファンもさほど多くはなかろうし、バレエ映画という内容を考えてみてもそうそうヒットする映画ではなかろうと思っていたが、初日の第1回目なので、ある程度はお客さんが入っている。座席数60席の小劇場で、40人ほどだけれど。
映画はもう、バレエ好きな人でなきゃ、ちょっと辛かろうな、と思うくらいに全編ひたすらバレエ、バレエ、バレエ、それのみで、『アラベスク』とか『テレプシコーラ』とかを期待して見に行くとそのドラマの余りのなさに困惑するのではないか、といった印象。もちろん、それがアルトマン監督の「ねらい」なので、考えてみたら『M★A★S★H』だって、設定はあるもののこれといった明確な「筋」はないのであった。そう考えると、幕間の楽屋裏を時折“ツナギ”として見せるだけで、ただひたすら舞台上のバレエの美しさを追ったこの映画、皮肉も諷刺も韜晦も何もないにも関わらず、やはりアルトマンらしい映画と言えるだろう。
いや、バレエシーンは眠くて仕方なかったんですが(^_^;)。でもしげはたっぷりバレエが見られてご満悦なのでした。
映画を見終わってロビーに出ると、そこにこないだ広島アニフェスで見た『ベルヴィル・ランデブー』のチラシが貼られてあって、驚く。思わず館員の人に「この映画、いつ来るんですか?」と聞いたが、「来るとは思うんですけど未定で」と言われてしまう。こういうのって、たいてい朝一とかレイトでってことになりかねないんだよなあ(T.T)。
東京にお住まいの方、このフランスアニメの傑作、来年の正月に新宿のテアトルタイムズスクエアでしかやらないので、ぜひお見逃しなく。
http://www.klockworx.com/belleville/
そのあと、父の店に寄って散髪。もう2ヶ月近く伸ばしっぱなしで、髪の薄いのはごまかせるとしても、さすがに襟足から鬢のあたり、もしゃもしゃした状態なのはかなりみっともなくて、これで御通夜に行けるものではない。
しげは夜仕事なので、昼間のうちに寝ておくように帰らせる。家にはもう飲み物がなかったので、帰り道、水だけ「レッドキャベツ」で汲んでおいてくれるように頼んでおいたのだが、実は頼んだ5秒後には忘れられていたのであった。あとで思うに、ここからケチはつき始めていたのである。
喪服に着替えて博多駅へ。
お通夜は夜からだが、時計はまだ昼を回ったばかりなので、かなり時間がある。紀伊國屋で立ち読みなどして、時間を潰す。
驚いたのは新刊コーナーの平積みに、例のイラクの人質三馬鹿の著書が、3種類揃って並んでいたことであった。あの目がイッちゃってた学生さんの本なんて二種類もあったが、立ち読みしてみたら、「結局ぼくはイラクに行って人質になって返って来ただけで、イラクの現状も何もわかりませんでした」というもの。だから「馬鹿」って言われてんのに、その「何もない」内容を記録にして本を出すのは馬鹿の二乗ではないのかな。「市民団体のみなさん、ありがとう」って謝辞を送ってるあたり、いくら「自分は政治活動家ではない」と言い訳したところで、信用されるものではないのである。
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09月04日(土)
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