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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■女の子がいっぱい
 今度の芝居、黒子として出演してくれる人が10人ほどいるのだけれど、一番若い子はまだ10代の高校生で、なかなかの美少女である。……こういうことを書くと、またぞろしばらくウチの練習場から足が遠のいていたヤツが覗きに来て妙なちょっかいかけやしないかと心配になるのだが、事実だから仕方がない。まあ、危険人物についてはウチの連中も対処の仕方を覚えているから、仮にホントにやってきたとしても、適当にガードしてくれるでしょう。余計な手間がかかって大変ではあるが。
 今日はその子を含めた二人と、しげと、最初の簡単な顔合わせ。台本とスケジュール表を渡して、練習に参加できる日程などを確認する。しげはどんな子が来るのか、話が合わなかったら困るなあとか、いろいろ心配していた。練習中、打ち合わせそっちのけで世間話だの人生相談だのオタク話だのし始めるヤツとかだと鬱陶しくてかなわないし、そんなヤツならゴメンだと思っていたのだが、実際に会ってみると素直そうで可愛らしい子だったので、安心した模様である。つか、いきなり気に入ったらしい。
 「何か言っとくことはないかい?」としげに言ったら「(この子たち)抱いていい?」と来た。……お前、感覚だけなら充分中年セクハラオヤジだぞ。……まあ、相手も笑ってただけだからいいけど。
 女性にはみな「レズ」の傾向があるという話を聞いたことはあるが、なんかしげのそれが人一倍強い気がするのは気のせいだろうか。


 今日はしげの通院の日。しげのいつもの普段着はへこたれたシャツにズボン、髪は適当に結んでつっかけ履き、化粧っ気はまるでなしで、とてもトシ相応のレディーの姿ではない。しげ自身、「オレって、端から見たらヘンなヤツ?」としょっちゅう私に聞いてくるのだが、もちろんその通りである。しげを見た人間に、「実はコイツ、精神科に通院してるんですよ」と告げたら、十人中七人は「なるほど」と膝を叩くことであろう。なんでフツーの格好ができないかな。
 今日もしげは他人の眼など一切気にせず、腰に『魁!! クロマティ高校』の校歌入り手拭いをぶら下げていた。……だから、それ、女の趣味じゃないってば(~_~;)。それどころか、カウンセリングのお兄ちゃん(としげは呼んでいる)に、「それ、クロマティ高校ですね?」と聞かれて、「あ! こいつ、『クロマティ高校』のこと知ってやがる! ……もしかしてオタク?」と思ったとか。……いやね、普通、そんなの知ってる人間より、現物を堂々とぶら下げてる人間の方が、かな〜りオタク度は高いと思うんだけどねえ。


 夕方から、株券譲渡の手続きのために、父の店に向かう。サインするだけなので、用事は5分で終了。
 しげ、「シーメイト」のチラシを父に渡して、保養に覗いてみるのはどうか、と勧めていたが、車持ちでなければあそこはちょっと行きにくい。一応は風呂も大広間もあるけれど、風呂もそれほど広くはないし、子連れ客と出くわしでもしたら、かなりうるさいだろう。値段が安いのがトリエではあるのだが。
 店の新聞を見ると、一昨日、近藤真彦が溺れかけた子どもを救った記事が載っている。4日の午前中、和歌山県の白良浜海水浴場で水上バイクを操縦中に、沖合約150メートルあたりをゴムボートにつかまったまま流されて助けを求めていた大阪府の小学2年生の男子を、たまたま水上バイク(ジェットスキー?)で通りがかったマッチが、海に飛びこんで助けたのだとか。
 実はついさっき、車の中でしげがそのニュースを話しながらウキウキしていたのである。「やるじゃんマッチ!」ということなのだが、しげがかつてはマッチの熱狂的なファンであったことは、知る人の少ない事実である。何しろ貧乏のどん底であった時代でも、親にせがんでマッチの映画にだけは連れていってもらっていたというのだから、ダン・エイクロイドを知る前のしげの完全無欠のヒーローはマッチだったのであろう。「なぜそこまでマッチに」と思わないでもないのだが、まあ、人の趣味はいろいろだからとやかくは言うまい。しかし、かつてのたのきんトリオの中で、「人助け」が一番似合うのは(まあ、似合う似合わないの問題ではないのだが)何と言ってもマッチであろう。その点、今回の件は言っちゃなんだが出来過ぎている。

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08月06日(金)
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