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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■鷺沢萠の自殺と、人質解放
しげ、なんとか体調はもとに戻ったよう。けど、気分まではまだなようで、まるいちんちイライラのし通し。朝方、職場まで車で送ってくれたところまではよかったのだが、別れ際に「ウチに帰ったら少しは家事をしとけよ」と言ったら、「そんなヒマはない」と言い切って帰ってった。自分でただの寄生虫であることを認めるような発言をしてどうする。かなりアタマがイカレているのである。
でもあとで聞いてみたら、しげの仕事、いつもと違って今日は昼間だったのであった。だったらそう言えばいいのに、いつも表現が舌足らずだから何が言いたいのかわからないのである。
仕事を終えて帰宅したあと、買い物に「レッドキャベツ」まで行く。買い物ったって、また「うどん」なんだが。実はここしばらく麺つゆが切れていて、仕方なくサラダドレッシングを薄めて代わりに使っていたのだが、「酸っぱい」と評判が悪かった。だもんでちゃんとした麺つゆを買う。これでまたしばらくは「うどん職人」生活が続くことになる。まう好きだからいいけど。
帰宅して「うどんはどれくらいるか?」と聞いたら「少し」と答える。しげの「少し」はだいたい普通の人の一人前半である。うどんで言えば1.5玉か。私が0.5玉で、2玉作って分けるとちょうどいい。
台所でうどんを作りながら、「コロッケ何個入れる?」と聞いたら、しげ、即座に「2個!」と答える。でもそのあと急にモジモジしだしたので、どうしたのか聞くと、「少ししか食べんって言ったのに、『2個』って言ったから馬鹿にされるかと思って」
「だからそれがお前の被害妄想なんだよ。お前が『馬鹿』なのは今更だろうが」
ともかくしげは、こっちが思ってもいないことを勝手に思いこんで拗ねたり落ちこんだりヒス起こしたりするので厄介なのである。でもこのくらいはまだ序の口であった。きょうはいったいどうしたものか、しげのヒスは更に鬱陶しいくらいにエスカレートしてくのである。
しげがパソコンしている側で私がテレビを見ていると、しげ、突然立ち上がってツカツカとテレビの側まで歩いてくると、いきなりスイッチを切ろうとした。
私が、「何すんだよ!」と怒ると、「テレビがうるさい!」とキンキン声で言い返す。聞いた瞬間、何を言ってるんだこいつは、としげの頭を疑ったのは、うるさいと言われるほどたいして音を上げているわけでもなかったからだ。「別にうるさくないじゃん!」と言うと、「テレビから日本語の声が聞こえてきたらどうしても耳に入るやん。オレ、『1ヶ月で1万円生活』なんて聞きたくないんだよ!」と悲鳴をあげた。いくらアホなしげでも、普段はこんなことは言わないので、今日は明らかに常軌を逸しているのである。
「俺はお前がパソコン終わるのをテレビ見ながら待ってるだけじゃんか。何ヒス起こしてんだよ!」
「ヒスなんて起こしてないよ! そうやって待ってるから威圧感感じてヤなんだよ!」
それをヒステリーと言うのである。これはもう話しても無駄だと思ったので、「たいがいにしとけ!」と一喝して黙らせた。
こんなこともしげは今までに何百回も(誇張ではない)繰り返している。しげの記憶喪失は(比喩ではない)ここんとこかなりひどくなってきているので、自分が何をどう謝らなきゃいけないかもわからなくなってしまっているのである。こういうときにセルフコントロールをしてほしいからこそ神経科にも通って薬も飲んでるんだろうに、まるで効いていないのだ。
しげ自身、自分を持て余して「劇的に変わりたい」としょっちゅう口にしているのだが、変わりたいならどうしたらいいか、自分で考えなきゃいけないはずだ。けれど、しげの場合、そうして考えたことを片っ端から忘れてるから変化のしようがないのである。どうせ忘れるならヒステリーも一緒に忘れてくれたらいのに、なんでそれだけ覚えているのだ。全く都合のいい記憶喪失である。これじゃしょっちゅう既知外に絡まれてるのと何も変わらん。私は家の外でも中でも既知外に絡まれてなんぞいたくはないのだよ。
作家、鷺沢萠(さぎさわ・めぐむ)さんが、11日、心不全のため、東京都内の自宅で死去していたのを、知人が12日になって発見。享年35。父は作家の鷺澤祥二郎(公木龍太郎)である。
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04月15日(木)
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