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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■入院日記2/またヘンな人に会ったよ
 昨日に引き続いて、午前中は検査いろいろ。運動が始まるかと思ったら、来週からだそうだ。糖尿病は人によっては運動がかえって低血糖症状を招いて危険な場合もあるので、事前の検査がいろいろと必要なのである。

 午後から、久しぶりの糖尿病教室。
 医師、看護師、薬剤師、栄養士の先生方が、毎日入れ替わりで講義をされるのである。これを真面目に受けないと、退院させてもらえなくなるかも(^_^;)。一度習ったことも多いのだが、改めてノートをきちんと取ろうという意気込みで、ノートもマッサラなのを買って来ていた。
 席に座ると、隣りに座っていた患者さんが、「昨日はよく眠れましたか?」と聞いてきた。顔を見ると、どうやら向かいのベッドにいた人らしい。
 「いえ、あまり……」と答えると、「最初は鼾が聞こえてましたがね。すぐに静かになりましたよ」と仰る。別にこちらの方から寝ているときどうでした、とも聞いていないのに、突然この人は何を言い出すのだろう、とキョトンとしたが、これはつまり逆に「鼾がうるさかった」ということを言いたいのだろう。しかし、そんなことを言われても、寝ている間のことなどどうにもしようがないのである。……ちょっとうるさがたの人と同室になってしまったのだろうか。

 今日はもう一人の副院長先生(お二人いらっしゃるのである)から、糖尿病の検査についての講義。「糖尿病」という呼称がそもそも誤解を招きやすいのだが、尿糖が検出されるのは副次的なもので、これは血液の病気である。
 膵臓で作られるインスリンの効果が悪いために、栄養をうまく利用できず、糖分が血液中に溢れた状態(高血糖)になってしまっているのだ。分りやすく言えば、血がベトベトになって、流れにくくなるのね。当然、喉が乾いて多飲する、頻尿になる、倦怠感が生じて元気がなくなる、急激に痩せる、ひどくなると昏睡に陥る、などの症状が出るようになり、これを長いこと放置すると、合併症(網膜剥離、神経障害、腎症、動脈硬化)を引き起こしてしまうのである。
 時分が糖尿病かどうか、これは血液検査を受けなければわからない。ブドウ糖を飲んで、空腹時と食後の血糖値がどうなるか、調べる。空腹時の血糖値が110r/dl以下で、食後2時間後の値も140r/dl以下であるなら、正常型である。この値で糖尿病になった人は、過去のデータには一切存在しない。そして親の血筋に糖尿病患者がいなければ、どんなに自堕落な生活を送ろうと、糖尿病になることは決してないのである。日ごろの運動不足が祟って肥り気味で、自分はいつか糖尿になってしまうのではないかと懸念されておられる方は、安心なさるがよろしい。
 日本人の10人中9人は、いくら暴飲暴食をしようと、絶対に糖尿病にはならない(高血圧で動脈硬化起こす危険はあるけどね)。意外と知られてないが、糖尿病は遺伝病なのである。つまり、糖尿の遺伝子のない者はそもそも発症のしようがないということだ。
 糖尿病だと診断されるのは、空腹時の血糖値が126r/dl以上、食後2時間が200を越える場合。そこまで至りはしないが、正常でもない、という人は「境界型」と言われ、これは遺伝子を持っていると考えられるので、いつか糖尿病と診断される危険がある。ご注意を。
 糖尿病の原因は、半分は遺伝であるが、それはそういう要素を予め持っているというだけのことで、他の要因が重ならなければ、やはり糖尿病は発症しない。栄養過多(過食)、運動不足、睡眠不足、ストレスなどの、生活習慣の乱れが作用して、その結果、糖尿病と診断されることになる。以前は「成人病」と言われていた糖尿病が、最近は「生活習慣病」という呼び方に変わっているのはそのためなのだが、われわれはもともと、カレーライスを一杯食っただけで、血糖値は100くらいババンと上がってしまうのである。これを「過食」とか「生活習慣の乱れ」とか言われたら、そもそも何ひとつ食えるものはなくなってしまうではないか。

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02月03日(火)
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