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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■暗い話二題/『鉄腕バーディー』1巻(ゆうきまさみ)/『金色のガッシュ!!』11巻(雷句誠)
朝起きたら、右目の前がどうもモヤモヤする。
よく見ると、黒い、糸のようなものがぶら下がっているのである。ゴミでもついてるのかと右目の前に手をかざしてみるが、指先に引っかかるものは何もない。
ああ、アレだ、明るいところで空なんかを見ると、糸クズみたいなのが見えるやつ。「飛蚊症(ひぶんしょう)」と呼ばれてるが、これはよく見える人と見えない人がいるらしい。私の場合、子供の頃からこれがやたら多かった。カエルの卵みたいに、ブツブツと点と線の続いた糸クズが、視界一面、雪になって降りしきる。見ようによっては美しいと見えなくもないが、鬱陶しく感じることも多かった。
これは、眼球の中の硝子体に生じている“濁り”の影が網膜に映り、眼球の動きとともに揺れ動いて見えるものである。この“濁り”はほとんどの場合、生理的な原因によるもので、普通、心配は要らない。母体内で胎児の眼球がつくられる最中には存在していた血管が、生まれたのちも硝子体に残存すると、これが“濁り”となって飛蚊症の症状を生み出す。恐らく、これまでのちらつきは全てこれだったのだと思う。
けれど、糖尿病や高血圧、外傷などの原因で眼底出血が起こり、その血液が硝子体に入って飛蚊症の症状を呈することもあるのだ。
今度の糸クズは、右目の上に引っかかったまま、ぶらぶら揺れて視界から消えることがない。今まで、こんなヘンな見え方をした“濁り”はなかった。やはり以前の健康診断で見られた出血はあったのではないか。面倒臭いが、また眼科に行かねばならないかもしれない。
糸クズはずっと揺れ続けている。その先端は、よく見ると、輪になっている。そしてその輪のところどころに黒い、血がたまりのような点が見える。まるで人を縊り殺した直後の絞首台の吊り紐のようだ。随分丈夫な紐で、いつまで経っても、どんなに揺れても千切れないのである。やだなあ。
ときおりこの日記に書いてきた職場でのトラブル、ちょっとシャレにならない状況になってきた。
上司と、同僚の女性との関係が険悪になっていて、板ばさみにあっていることを書いたが、その女性の心のコワレ具合がだんだん激しくなってきたのだ。
今日、上司がパソコンからあるデータを取り出そうとして、そのデータを管理している彼女にその旨を伝えた。彼女は露骨にそれを拒否した。
「今、忙しくてできません。ご自分でマニュアルを見てやってください」
困惑した上司が、私のところにやってきて、「藤原さん、あなたから、聞いてくれませんか」と頼んできたのだ。そんなこと言われたって、私だって困る。
「私が聞いてもして下さるかどうか分かりませんが」
「けれど、私では無視されてしまいますから」
ちょっと待てや(-_-;)。問題はまさにそこにあるので、“もしも彼女が私には親切にしたら”、上司と彼女の関係、ますます溝が深まっちゃうではないの。で、その原因を私に作らせようってのかい。
でも、断れないから、おずおずと、彼女のところに行って聞くのである。
「あの、すみません、コレコレナニナニのデータについてなんですけど……」
「あ、出し方ですか? こうすればいいんですよ」
そんなん簡単に教えるなああああ!
もちろん出したデータは、上司のところに持って行きましたよ。すげえ緊張したけど。
上司も心の広い人なので、怒りはしなかった。怒りはしなかったが、苦笑して、「出してくれたの、あの人」と言って、データを受け取って、あとは何も言わなかった。こういう人を彼女はどうしてあそこまで憎むことになったのか。全くわからない。わからないけれど、人と人とのすれ違いなんて、こんなものなのだろう。……って達観なんてしてられねーんだよう(T∇T)。
この話、読んでる方もハラハラするばかりで面白くないとは思うのだが、私の今後の身の振り方に密接に関係してくる可能性が大なので、書かずにごまかすわけにはいかない。
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06月23日(月)
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