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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■東京の空の下A/舞台『シティボーイズ・ミックスpresents/NOTA 恙無き限界ワルツ』
 ぐっすり寝たつもりだが、睡眠時間は4時間程度。それでも8時には目が覚めてしまうのだから、トシヨリの朝は年々早くなつてきているのであろう。10年、20年なんて、ホントにあっという間だ。
 朝食の席で(これもいつものごとく、こうたろう君にたかっているのである)、芝居が始まる午後まで、お台場に行ってみないか、と誘われる。今回、芝居とオフ会以外の予定は全く立てていないので、二つ返事で誘いに乗る。

 デックス東京ビーチ・シーサイドモールってところの4階に「台場一丁目商店街」(通称レトロ商店街)というのができてるんだとか。昭和30年代の東京の下町を再現してるそうで、要するに『オトナ帝国』の夕日街商店街である。マジで『オトナ帝国』見た連中が企画立てたんじゃないか。
 行ってみると、なるほどよくできてはいる。駄菓子屋だの玩具屋だの食堂だの床屋だの、昔風の店が建ち並ぶ中に射的屋まで混じっていて、どっちかというと商店街というよりも縁日っぽい雰囲気を作ろうとしている印象である。チンドン屋まで流れてくるのはちょっと演出過剰であるが、ガキがそのあとをついて歩いてる様子を見ると、昔もオレたちゃそうだったよなあ、と感慨深い。
 こうたろう君の息子さんは射的が大好きらしく、何発も撃ってはタマを無駄にしている。実は私は、子供自分に射的というものを殆どしたことがない。母が「お金の無駄遣いだから」ということで、縁日に行っても絶対にさせてくれなかったからだが、今思うに、本当の理由は母がとことん銃嫌いだったからではなかったろうか(刀は嫌いじゃなかったようだが)。
 こうたろう君に「一発撃ったら?」と言われて試しに撃ってみたが、やっぱりへなちょこな方向に飛んでいくのであった。

 でもなあ、よくできてはいても、やっぱりこれって、作りものなんだよなあ。『オトナ帝国』風に言えば、形はあっても「匂い」はない。人が生きて生活してる雰囲気はないし、未来への夢はない。昭和30年代はやはり過去なのである。

 人出も多く、ちょっと油断したらこうたろう君たちとはぐれてしまう。パーラーで軽食を取って、そろそろ芝居の時間が気になってきたので、外に出る。買い物をしようかと思ったけれど、荷物になるので諦めた。こうたろう君とはここでいったんお別れ。


 天王洲アイルには公演の1時間ほど前に到着。
 しばらくぶらぶらするが、しげ、やっぱり今一つ元気がない。去年もオフ会の前はこんな調子だったし、先日も「オレってやっぱり人がいるとこダメなのかなあ」とか呟いてたから、本人も気にしちゃいるのだろう。
 どんなに「他人は自分のことをそんなに気にしてるわけじゃない」とリクツで納得しようとしても、感情では「みんなに嫌われてるかも」と思ってしまうのである。
 そういうことを考える方が逆効果だとわかっていもどうしてもそう考えてしまうのだからやっぱりビョーキなんだよなあ。で、その情緒不安定を私にやつあたりすることで紛らわそうとするんだよな、こいつは。もっとも私に当たらなければ、しげは自分自身に向かってそのストレスの矛先を向けてしまうので、ある程度は受けてやらなきゃしょうがないんだが、こちらだって体力の限界というものはあるのよ。
 しげは、私と一緒にいても、全然口も利いてくれん、と怒ることがあるが、しょっちゅうしげと会話してたら体力が持たないのである。いざって時のためにペース配分をしているのだから、無視するのも愛情の形と考えて納得してもらいたいのである。納得できなくてもしろ。


 シティボーイズ・ミックス・プレゼンツ『NOTA 恙なき限界ワルツ』。
 今年のゲストは中村有志さん、YOUさん、五月女ケイ子さん。五月女さんは新参加だが、きたろうさんの引きだそうな。もともとはイラストレーターで『新しい単位』なんかの挿絵を書いていらっしゃるが、舞台経験は3回程度だとか。でも役者の面白さは必ずしも経験に左右されないし(ベテラン俳優が子供や犬に食われることがあることを想起していただきたい)、実際、どこか現実からちょっとズレたような不思議ちゃんっぽい雰囲気を出していてかわいらしい。

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05月03日(土)
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