ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491708hit]
■爆走A/『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』(吉田守男)
しげ、今日は昼の仕事のため帰りはタクシー。
乗ったタクシーの運ちゃん、また顔馴染の人。不景気の話から「博多にゃ職人がいなくなりましたねえ」という話になる。
ウチは祖父が沈金師で、両親が床屋なので、その二つともが絶滅した話をする。バブルのころから職人は不景気だったからなあ。審美眼のある客なんて、二十年以上前からいなかったのである。
晩飯はセブンイレブンで買った弁当。しげの分も買ってやる。
私はこうやってしげを気遣うが、しげは全く感謝しない。
吉田守男『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』(朝日文庫・672円)。
京都・奈良・鎌倉など、貴重な文化財の残る古都が米軍の空襲を免れたのは、日本文化に造詣の深かったラングドン・ウォーナー博士がルーズベルト大統領に直訴して、その価値を認めさせたからだ、という「定説」が、まったくの虚偽だったことを資料から検証した一冊。作者は、世間で未だにそれを信じてる人が大勢いるために、以前出版して絶版状態にあった本書を文庫化して再出版したんだと。
……すみません、私も「眉唾だなあ」とは思ってたけど、疑ってはいませんでした。だってこれ教えられたのほんのコドモのころで、しかもお袋から聞いたんだもの。ガキは疑いませんて(^_^;)。
破壊目標から外れてたどころか、京都は第三の原爆投下目標のひとつだったのである。空襲が行われなかったのは、いざ原爆投下した時の破壊状況の調査がしにくいから、というのが真相だそうな。戦後は逆にアメリカはこの「ウワサ」を積極的に利用して、日本人の懐柔策を取った。「アメリカのおかげで被害がこれだけですんだ」ってやつな。広島・長崎の悲劇が「この程度」だよ。
情けないのは未だに京都で「アメリカさんありがとう」とか考えてる人が、多いらしいことだな。それこそ、広島・長崎の悲劇から目を背けさせようってアメリカの策略に見事に乗せられてるんだから、京都にゃ文化はあっても教養は育たなかったらしい。
この説を流布したものの中に志賀直哉がいたというのが面白い。この人、作家としても高く評価されすぎてる気がするが、戦後は「日本語は全部フランス語にしたら」とか結構トンデモなことばかり言ってた人なんである。
人は自分が安心できる説には検証もせずに乗っかりたいもののようである。今でもこの体質変わってないよな。
11月12日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る