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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■管理ってそういうことじゃなくてよ/DVD『絶叫屋敷へいらっしゃい!』/『ガンダムエース』7月創刊号ほか
 今日こそは職場に復帰することを決意する。
 と言っても、体調が完全に回復したわけではない。咳はなんとか治まったが、鼻詰まりは相変わらずヒドイ。
 しげに車で送ってもらいながらも、座ってられずにシートを倒して横になっている。私が相手をしてやらないので、しげ、退屈そうに「映画でも見てこよっかな」とかほざく(この日記を長く読んでいらっしゃる方ならおわかりでしょうが、しげはたとえ私が病気で苦しんでいても一切看病なんかしないヤツです)。
 私もいちいち相手してやる元気はないので、「行けば」とつっけんどんに答える。
 「あ、でもアンタが元気になるなら金曜日に一緒に行こっか」
 「それでもいいよ、何見に行くの」
 「『ノット・ア・ガール』。」
 「なんじゃそりゃ?」
 「なんか三人娘の恋愛もの」
 話を聞く限り、西洋版の「花の高三トリオ」か「お姐ちゃん」シリーズみたいな感じらしい(我ながらタトエが古いよ)。
 「……面白いの?」
 「多分つまんない」
 「じゃあ、なんで見に行くんだよ」
 「『ダン』が出てるんだよ!」
 ここで「モロボシダンか?」とか言ってボケたら、確実にしげに裏拳食らわされるので、素直に「あっそ」と答える。
 念のため。もちろん「ダン」とは「段田男」のことである。
 ……あ、殴るなよ、しげ。"/(;-_-)
 「資料見たら誰とかのダディって書いてあったから、三人娘の誰かの父親だってことは分るんだけど、多分あまり出番ないと思う」
 出番なんてちょっとでもありゃ、それだけで満足するくせに。
 ワンシーンしか出演シーンがないというのに、ダン・エイクロイドが出ていると言うだけで「『パール・ハーバー』は傑作だ!」と言い切るダン狂信者のしげにとっちゃ、どんなにノーテンキな青春ラブラブ映画だって、超傑作になっちゃうのであろうことは予想がつく。
 「あんたが見たくないなら一人で見に行くけど?」
 「別に俺は見たくない映画なんてないってば。映画ならなんでも見るよ。金曜日に行くならそれでいいし」
 「でも、多分、金曜日までしかやってないっちゃ」
 「待てないなら今日一人で行きゃいいじゃん。レディースデイだし」
 「そうしよっかなあ、どうしよっか」
 この小早川秀秋なみの優柔不断さはなんなのだろうなあ。私はもう諦めがついているからいいものの、しげと関わってる人たち、イライラしてはいないのだろうか。
 あ、くそ、結局相手しちゃったじゃないか。疲れてんのになあ(ーー;)。


 何しろ五日ぶりである。
 職場では、当然のごとく、視線の厳しい同僚も多々いらっしゃる。
 それだけならばまだいいが、上司がそっと耳打ちしてくるのである。
 「○○さんたち、休んでる間にアンタのこと随分悪口言ってたからね」。
 いやあ、声には出さなかったけど、驚いたね、こりゃ。
 いや、陰口叩かれたってことに対してじゃないの。
 陰口を言わない人間なんて、この世に存在するわけはないから、そんなことで私ゃ同僚を恨んだりはしない。
 それに、本当に同僚が「陰口」を言っていたのかどうかもいささか疑問だ。普通、上司に聞こえるような場所で、堂々と他の同僚の悪口なんて言ったりできるものではない。交わされた会話というのも、恐らくは、せいぜい「早く出て来てもらわないと困る」程度の愚痴じゃなかったかと思うのだ。もしそうなら、なおのこと、私が驚いたり腹を立てたりしなきゃならない理由はない。
 お解りいただけるだろうが、驚いたのは同僚に対してではないのだ。
 経緯を私に告げた上司に対してである。
 マトモな神経持ってんなら、ただの愚痴かもしれない言葉を「陰口」と捉えたりするかね。いや、仮に本当にそれが「陰口」だったとしても、注意すべき相手は、私ではなくて、不謹慎な発言をしたその同僚たちなのではないのか?
 しかも管理者たる立場の人間が、いちいちそんな経緯を悪口言われた本人に告げたりするか? 
 一応、意図としては「仕事を休むな、しっかり健康管理しろ」って言いたいんだろうけど、言うに事欠いて「陰口叩かれないように」って注意の仕方はねーよな。しかも陰口言った人の名前まで出してるし。

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05月29日(水)
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