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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■2001年アニメグランプリ/『ななか6/17』7巻(八神健)ほか
 夢の中に唐沢俊一さんがまた登場。
 最近サービスがいいなあ(^o^)。
 で何があったかというと、手塚治虫マンガ論を一席ぶってくれたのである。
 と言ってもそれは以前から唐沢さんがあちこちに書かれていた、「手塚治虫の天才性は質もそうだけれどその量にあった」という立川談志の説の引用。
 それに対して、私が、「でも手塚治虫って、乱作したせいで質も随分落ちたと思いますけど」なんて生意気な口を聞くのである。
 本当の唐沢さん相手だったら、貴重な時間を無駄にさせて申し訳ないところである。ああ、夢でよかった。
 ……でもこんな夢見たってことは、やっぱり青臭いディスカッションってものを私が未だに欲してるってことなんだろうな。
 いい加減、「従心所欲、不踰矩(心の欲するところに従えども矩を踰えず)」と行きたいところなんだけれども、まだ七十歳にはほど遠いしムリかな。


 5分で終わるはずの会議が長引いて、またしげを駐車場で30分近く待たせる。
 腰が痛いしげは、「待つだけでも痛いとよ!」と私を睨めつける。
 私だって会議は早いとこ進めたいんだけど、日頃、腹にいろいろ溜めといて、それを会議となると吐き出したがるヤツっているんだよ。
 話題はズレまくるわ、ポイントは絞れてないわ、しかも一度喋りだすと止まらないわで聞いてて辛くて仕方ないんだが、本人はイイこと喋ってる気になってんだよね。
 だから議題と違うこと喋って時間を無駄にするのは止めてちょ。


 ドラマ『盤嶽の一生』第5回「落としもの」。
 河原で五百両の入った胴巻きを拾った阿地川盤嶽(役所広司)、通りがかりの駕籠かき金太(船越英一郎)と銀平(阿南健治)に落とし主を探すのを手伝ってくれるように頼む。
 五百両に目の眩んだ金太は、偽の落とし主・久左衛門(上岡龍太郎)をでっちあげて盤嶽に紹介するが、中の一分銀の数を当てられずに見破られる。
 怒る盤嶽に金太が説明したのは、長屋の大家・幸兵衛(青木卓司)の借財二十両を返さないと、娘のおぶん(中江有里)がやくざに売られてしまうという哀れな事情。
 ならば落し主から一割の礼金を貰ってそれでおぶんを助ければよいと、盤嶽は胴巻きの持ち主を改めて二人に探させる。
 ところが、落とし主だと言って名乗り出た侍は二人、磯部新十郎(山本竜ニ)と北村十内(南條豊)。争う二人を取り押さえたのは、平瀬の弥太郎(火野正平)に率いられた捕り方たち。磯辺と北村は盗賊で、丸田屋という質屋に押し入って五百両を盗んだが、仲間割れをして胴巻きを落としていたのだ。
 ところが胴巻きは金太が盗んで消えていた。早く見つけないと、丸太屋の主人・伝兵衛、通称丸伝(田中邦衛)の雇った殺し屋に金太が殺されてしまう。
 そのころ金太はおぶんが売られた茶屋に駆け込んで、胴巻きの金を使って身請けしていた。しかし、丸伝の意を受けたやくざの甚吉(坂本朗)と五人の殺し屋が金太とおぶんを襲う。そこへ掛けつけた盤嶽と弥太郎、銀平が殺し屋を倒し、胴巻きも取り戻した。
 おぶんの身請けで減った五十両は弥太郎が丸伝にうまく話をつけるから盤嶽は早く逃げるようにと促す。それを真に受けて旅立つ盤嶽。
 しかし、残りの四百五十両は、ちゃっかり弥太郎が着服していた。「あの旦那なら丸伝の殺し屋に教われても平気だろうよ」と嘯く弥太郎。胴巻きは盤嶽が持ち逃げしたことになっていたのだ。
 騙されて。
 騙されて。
 盤嶽よどこへ行く。

 あ〜なんか、あらすじ全部書いちゃった。
 でもよくできた脚本だからね。
 毎回必ず盤嶽が騙されるパターンだともう解っちゃってるから、つまんなくなるかと思ったら案外そうでもなかった。
 キャラクターが生きてるから、ダレ場がないのである。特に金太と銀平が改心したと見せかけて、弥太郎の策略を見逃すラストがうまい。善人のアテにならなさというか、庶民とか一般人とか大衆とか、世間に埋没していることをあたかも錦の御旗であるかのように標榜して恥とも思わぬ厚顔さを、作者は冷徹に見ているのだ。
 盤嶽は常に敗北する。
 愚かゆえに敗北する。そしてしばしば自分が敗北したことにすら気付かぬほどに愚かなままである。

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05月14日(火)
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