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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ジンクス再び/『ジャングルはいつもハレのちグゥ』9巻(金田一蓮十郎)ほか
 寝室の電球が切れていたので、とっかえようとしたら、根元のコードがプチッと切れて、土台自体が落ちてきた。
 十年も同じ部屋で暮らしてると、あちこちガタが来るもんなんだなあ。
 考えてみたら、子供の時分から、別に他の土地に移住したわけでもないのに、引っ越し経験だけはやたらにある。
 色々事情があって、近場をぐるぐる移動してたのだな。
 けれど、引っ越すにしろ、親が拘ったのはそこが「博多」であること。
 先祖代々、博多の職人、ということに誇りっつーか意地のようなものを持っていた両親にしてみれば、博多以外の土地に住むことなど考えられなかったのだろう。
 で、今、父は紆余曲折があって、博多以外の土地に住んでいるのだが、住所登録を未だにそこに移していない。……そこまでしてなぜ「博多」に拘るか、と、他地方の人には理解に苦しむところだろうが、伝統に拘ると言うのは得てしてそんなもんである。


 私のパソコン机の前に並べた食玩フィギュアも相当数になったが、余りコンプリートとかには拘らずに、適当に面白そうなものを並べているだけなので、見ようによっては結構、妙な構図になっている。
 エヴァ初号機とサキエルが戦ってる後ろでポセイドンがポージングしてたり。
 ジェットジャガーの尻に不思議の国のアリスが擦り寄ってたり。
 鉄人28号とブラックオックスが戦ってる後ろで妖怪垢舐めが「UFO」のポーズ取ってたり。
 惣流・アスカ・ラングレーのスカートの中身をゲゲゲの鬼太郎が覗いてたり。
 妖怪釣瓶落としの後ろにキングギドラを置いておくと、まるでハゲ頭の上から首が三つとハネが生えてるように見えるのが笑える。
 ……こういうの、もしかしたら新しいタイプのジオラマかも。
 友人の息子さんからもらった、カードを型抜きしたヤツを組み合わせると怪獣になるってヤツ、これで昔なつかしのトントン相撲ができることに気がついた。
 早速、適当な箱を土台にして、トントンやってみる。
 もらったカード怪獣は、ゴジラとアンギラスとデストロイアだったんだけど、一番さて、一番強かったのはどれでしょう?
 正解は「デストロイア」。直立してて両足と尻尾の3点が安定してるんで、殆ど微動だにしない。アンギラスは前傾姿勢なのですぐ前に倒れる。でもそれ以上に不安定だったのがゴジラ(これはモスゴジか)。尻尾が浮いてるので、すぐふらついて倒れちゃうのだ。
 これ、もっと怪獣の種類を集めて大相撲大会とか開いたらおもしろそうだなあ。……ってこんなのまで集めてたらまたしげから「邪魔なもの買うな!」と文句言われそうだが。


 しげが朝っぱらから(と言うか、まだ夜中なんだが)、いきなり外着に着替え始める。
 「どこか出かけるのか?」と聞いたら、「車のところ」とだけ答える。
 私はひと眠りしていたのだけれど、しげはその間、パソコンで今度の芝居用の映像編集などをしていたようなのである。多分、一睡もしていないのだろう(もっともその前は半日以上寝ているのだが)。
 「何してるか知らんけど、寝るときは寝とけよ」と言ったら、「オレも寝たいよ! することあるから起きてるんだよ!」と怒鳴られる。
 しげが「することがある」といった場合は、たいてい「しなくてもいいことをしてる」場合が圧倒的に多いので、疲れてるなら寝ればいいのに、とは思うが、また不毛な会話をするのもイヤなので放っておく。
 ところが、しげ、そのまま外に出て行って、いつまで経っても帰って来ない。
 何やってんだ、覗きにでも行ってやらなきゃならんのか、と思ったら、玄関のドアがゆっくりギギイ、と開いて、“底の方”からか細い声が。
 「た、助けてえ〜」
 みるとしげが地面に這いつくばって、首だけを部屋の中に覗かせている。
 新手のギャグか? と思って「なんだよいったい?」と聞くと、「テーブルの天板が足の上に落ちてきた〜」と涙を流している。
 「テーブルって……何やってたんだ」
 「大道具のテーブル車に乗せようと思ったら……天板が滑り落ちてきて……足の上に……」
 ……ンな大仕事するんだったら、予め「手伝って」と言えばいいのに、「車に行く」だけしか言わないんだもんなあ。

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05月03日(金)
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