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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■しげ伝/『人生は五十一から』(小林信彦)ほか……“NEW”!
しげ、という人間の性格を他人に伝えることは、並大抵のことではない。
ともかくマトモな人間ではないし、これまでも他人との間でトラブルを起こしてくれたことは数限りない。
一見、フツーに見えなくもないので、初対面の人間は騙されてしまうのだが、本質的には人非人である。「無自覚の悪意」……なのかどうか、自覚しているのかいないのか、夫である私にも計り知れないところがある。
何のことか事情を知らぬ人にはサッパリだろうが、ここんとこ、私が巻き込まれている、あるトラブル(さて、このことについて詳しく書く日が来るのかどうか)について、しげが腹を立て、そのトラブルを更に拡大してくれるようなことをやらかしてくれたのだ。
……と、こう書いてもやっぱり何のことかは分らんね。
でも、具体的なことは書けないので(保身のためではないことは強調しておく)、このまま書き進める。
しげは心のコントロールが不得意である。
原因はいろいろあるんだろうが、それを追及しても仕方がない。
要はしげが自分で自分の心のバランスを取りたいと思っているかどうか、ってことなんだが、この点が実はよく分らないんである。
私はしょっちゅう、しげに「今のお前の言動、普通と違うけど、そのことは自覚してるのか?」と聞く。つまり、自己をどの程度、客観視できているかを聞いているのだが、「自分ではこれが普通のつもりなんだから、何がヘンなのか言われても分らない」と答える。
しかし、いきなりけたたましく笑ったり踊り出したり、道端でへろへろアブナイ歩き方をしていたり、何の脈絡もなく「インド人とアフリカ人とどちらが好き?」と聞いてきたり、それでいてコイツは自分を「フツー」と言い切りやがるのだ。
これが7、8歳の子供ならば別段おかしい行動でもないのだろうが、なんと言ってもしげはもう28歳になるオトナである。奇矯、と言わざるを得ない。
「他人からヘンな目で見られること、わかってるのか?」と聞いても、「別に他人だから」で終わる。受け答えが適切でない、というよりは論旨がズレまくり、しかも自分で喋ったことをホントに5秒置きに忘れて行くので、会話自体が成り立たない。
しげの知り合い連中も、しげのヘンテコな行動を見ながら「しげさんっておかしい」と笑ってるようだが、ただの知り合いならアレもソレも全てギャグですむだろうが、私ゃ四六時中、しかも死ぬまで一緒にいるのである。
「つらくないのか?」と人から聞かれたこともある。
しかし、それは例えてみれば難易度の超高いRPGをやってるようなものなので、やり始めたらそりゃつらいの何のと言ってられるものではない。
だから、「覚悟」はしていた。
「何かいろいろあるだろう」とはね。
でも、ホントに何回やらかしてくれたら気がすむのか。
今回も、やっぱり「また」、あったのだ。
何度目の「また」かは、もう数えてもいないが。
しかし、読者の方にはここで誤解してもらいたくない事実がある。
トラブルの原因は、もともとしげの奇矯さに帰されることではあるのだが、誠に残念なことに、それは「事実」を根拠としたものではなく、ただの「解釈」上のすれ違いに過ぎなかった、ということだ。
私はこの日記で何度もしげを「ばか」だと書いてきた。
読者の方々は、「そうは言っても、実はしげさんはステキな人だろう」とか、あるいは逆に「かわいそうな人なのだなあ」とか、しげについていろいろな想像を巡らしているかもしれない。
しかし、これが「公開日記」だという事実を、まずはご理解いただきたいのである。結婚して十年、しげは私にとって未だに謎だ。しかし謎を謎のままに書いたところで、それは「伝える」ことを目的とした公開日記の文章にはならない。
だから書く。
しげは「ばか」ではないのか。
××××ではないのか。○○○○ではないのか。
それは全て、しげの存在を他人に伝えるための言葉を探した結果ではあるが、どんなに言葉を尽くしても、しげをしげのままに見た言葉にはならない。というより、そんな便利な言葉はもともと存在しない。
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04月24日(水)
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