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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ヒメ様ご出座/アニメ『七人のナナ』第1話/『トランジスタにヴィーナス』3巻(竹本泉)ほか
 仕事帰りの車での出迎え、「今日は時間通りに来るよ」と、しげが言っていたので、こちらも時間に遅れまいと、職場の前で待つ。
 ところが、約束とは裏腹に、5分待っても10分待ってもしげのロドリゲス(何度も言うがしげの車の名前だ)はやって来ない。
 いい加減シビレを切らして、もう一度携帯に連絡を入れる。
 「どうした? まだ来ないのか?」
 「今、向かってるとこ。もうすぐ着くよ」
 「寒いから少し歩くよ。坂の下で落ち合おう」
 「だめ! 職場の前で待ってて!」
 「……なんでだよ。こっちも歩いた方が、早く会えるだろ?」
 返事がないので、職場から離れて歩き始める。
 しばらくして、向こうのほうからしげのロドリゲスが……。
 あれ?
 しげの隣に乗ってるのは……。

 「つまんない。KC、全然驚かないんだもん」
 車の助手席でホントにつまんなそうに声を上げたのは鴉丸嬢だ。
 まあそれなりに驚いちゃいるんだが、かと言って、「わあ、ビックリした!」と言ってのけぞるほどのトシじゃない。
 でも、しげが「職場の前で待て」と言った理由がこれでわかった。
 鴉丸嬢、今度の舞台用の衣装、白雪姫かシンデレラって感じの(でも色は真っ赤)ビラビラを身につけていたのだ。
 「この衣装で出て来て、『KC〜!』って言って迎えようって思ってたのに」
 全くそういうイタズラだけはすぐ思いつくヤツらだもんなあ。
 けれど、準備に時間がかかって、職場までたどりつくのが遅れてしまったそうだ。肝心なところで間が抜けてんだよね。
 しげ、運転しながら説明をする。今日はこの衣装で撮影をするんだそうだ……って、どこで?
 「ウチのマンションでだよ?」
 「マンションのどこで」
 「玄関」
 「人が来るじゃん!」
 「だからアンタに一緒にいてもらおうと思って。なんか言われたら説明してね」
 日ごろ私のことを、見るからに胡散臭いとか普通にしてても浮浪者っぽいとか変質者っぽいとか散々悪口言ってるくせに、こういう時だけ責任者扱いか。卑怯なヤツ。
 でも、ドラマじゃあるまいし、通りすがりのマンションの住人が、姫の衣装に身を包んだヘンな人間がいたのを見たとしても、「アンタ誰!」なんて咎めだてするより、見ないフリして逃げるのが自然だと思うんだが。
 事実、その通りだったのである。あのとき不安な思いを抱いたマンションの人たち、どうもスミマセンでした。


 TVQ(テレ東系)アニメ新番、『七人のナナ』第1話「第1問!ナナ×7=ナナ?」。
 『味っ子』の、『Gガン』の、『ジャイアント・ロボ』の今川泰弘の新作ということで大いに期待。
 期待しすぎると見てみて「なーんだ」ってことになることが多いが、これは違った。
 まずは冒頭の語り口がいい。
 宅配便がいかにも旧家風の鈴木家に尋ねてくる。
 受け取りに出たのはごくフツーの女の子、ナナ。ところが、ナナの後ろからチラチラと現れるのは、もう一人、二人、三人……七人のナナ。
 「どうしてナナが七人になったか」ってのは、この冒頭の騒動の後に語られるのだ。やっぱり「ツカミ」がうまいよ、今川監督。
 しかも第1話だけあって作画のテンションもハイレベル。ガラスに映る通りがかりの人間までしっかり作画してんだもんなあ、芸コマ芸コマ。CG処理もうるさくなく、効果として使いどころを弁えている。この正月からの新番アニメはそれほどたくさん追っかける気はないんだけど、多分、これが最高の1本なんじゃなかろうか。
 けど監督、自分まで堂々と出演するのはやりすぎじゃないスか。

 バレンタインデーの日、憧れの神近君にチョコレートを渡そうとして、木枯・林葉・森沼の3人トリオに邪魔されて、せっかく作ったチョコを捨てられてしまうナナ。日頃は引っ込み思案なナナ、いつもならここですっかり挫折しちゃうところだが、親友の小野寺瞳に励まされて、もう一度チョコを作ろうと勇気を奮い起こす。
 ところが今度はオーブンレンジが見当たらない。

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01月10日(木)
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