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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■若葉マークはどこへ行く/歌劇『さまよえるオランダ人』(ドイツ・ザクセン=アンハルト歌劇場)ほか
オタアミ当日まであと8日! 8日しかないのだ!
脚本家、永原秀一(ながはら・ひでいち)氏が、14日、心不全のため死去。享年61歳。
特撮関係ではあの悪名高き、『惑星大戦争』及び“はちよん”『ゴジラ』の脚本及びノベライズまでやっちゃったので、才能のない人のように思われてるが、その辺が難しいところである。何たって、あの時期の『ゴジラ』は(今でもそうだが)シバリが多くて、誰が書いたって駄作にしかならん状況だったしなあ。
マンガ『松田優作物語』の中に、松田優作と永原秀一のカラミを紹介したエピソードがある。泡坂妻夫のミステリ『乱れからくり』が映画化された際、主演の松田優作が酔って「こんなシナリオがやれるか!」と引き裂いたというのだ。激怒した永原が「俺は自分の命かけて脚本書いてんだ!」と松田に謝罪を求め、松田が頭を下げた、という一件があったらしい(マンガでは永原の名前を隠してはいるがバレバレ)。
しかし、松田優作を弁護するわけではないが、あの『乱れからくり』はプロデューサーの田中文雄も認める超駄作であって、私も原作をズタズタに改竄して魅力のカケラも残さなかったシナリオには当時本気で激怒していたものだった。だいたいこの人、本格ミステリには向かない人なのである。
じゃあ何がよかったかというと、新聞記事にも載っていたが、この人の代表作はなんと言っても『狙撃』だろう。
若きスナイパーと年老いたスナイパーの決闘を描いたこの映画、やや現実離れはしてたが、加山雄三のもったいつけ演技はともかく、おそらくこれがほぼ遺作に近い森雅之の名演が光る傑作になっていた。ラストの砂漠での対決はまんま西部劇だったけど、脚本家のオマージュが感じられる名シーンだったと思う。……別にガンマニアってわけじゃない私が唯一好きな銃がモーゼルなんだけど、それはこの映画で岸田森が持ってた銃だったりするのだな。
実はあとはたいした映画の脚本書いてない。『野良猫ロック』シリーズは見てないからなんとも言いようがないが、『蘇える金狼』はまあ魅力的ではあったけれどシナリオ自体はメリハリがなかったし。
ちょうど今、CSファミリー劇場で『西部警察』やってる。やっぱり脚本はいい加減(^_^;)。でも「命をかけて書いてる」ってのは案外本当だったのかもなと思う。永原氏の脚本からは理性とか知性ってものが決定的に欠けていたし、だからこそ「情熱」だけがこの人の原動力だったんじゃなかろうか。
今日は久しぶりの観劇の日である。
先日の日記にも書いた通り、しげがアンケートでチケットを当てたのだ。
ハナキンとはいえ、平日の夜のことで、最近残業も多く、果たして行けるものかどうか危ぶんでいたが、ちょうど今日だけ早引けできることになった。っつーか、ムリヤリ休み取ったんだけど(^_^;)。
いきなり仕事を入れられたらオシマイなので、職場に退出時間通りにしげに車をつけてもらい、さっさと乗り込む。時間は4時半。チケットの引き換えは5時半からだが、会場の福岡サンパレスまでは通常なら30分、ラッシュ時でも2倍かかるということはあるまい。充分余裕で着けると、安心していた。していたのよ、ホントに。
しげが地図を私に渡し、ナビをしてくれと頼む。
「……箱崎まで行って、左折しようと思うんだけど」
「……箱崎? なんで?」
福岡以外の方には地名を出しても解るまいから、ちょっと解説するが、要するにすげえ遠回りなのである。
「箱崎まで行かなくても、五斗蔵か二又瀬から左折すればいいじゃん」
「だってそっちの道行ったことないし」
「箱崎は行ったことあるのか」
「うん」
「行った道しか通れないってなんだよ。遠回りして間に合わなかったらイミないじゃん」
「……じゃあ、アンタが案内してよ!」
「だからナビしろって言ったんだろ?!」
なんだか出発から前途多難である。
結局、五斗蔵から空港横を通って博多駅へ抜ける道は相当渋滞しそうだという判断で、二又瀬から左折する道を選ぶ。それならあとは一本道でサンパレスに着く。
「二又瀬なら多分混んでないよ」
「なんで?」
「なんでって……勘だよ」
「でもアンタすぐ私を騙すし」
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11月16日(金)
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