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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■カリメンしげ/『モーツァルトは子守唄を歌わない』1巻(森雅裕・有栖川るい)
昨日から雨続きで、仕事の行き帰りはタクシー。
ううむ、明日は山口きらら博に行かねばならぬというのに、また余計な散財。
給料日はまだ1週間も先なのだぞ。私を日干しにする気か……って、雨天だったな。f(^_^)ポリポリ。
鬱陶しいと、気晴らしがしたくなるのか、タクシーの運ちゃんとも話が弾む。
ちょうど帰りのタクシーのラジオから「武蔵丸破れました!」と流れてきた。
「ああ、負けちゃった、最近の横綱を弱くなりましたたねえ」とついネタを振っちまったもので、気がつくと、「栃若時代はよかったですねえ」なんて話をしている。
実は私ゃ、太鵬・柏戸の時代には間に合っているが、そこまでの年寄りではない。相手がご年配だったので、つい知識だけで喋ってしまったのだ。
でも、まんざらウソをついたというわけでもない。
テレビでちょくちょく流れる「大相撲名勝負」の類で、栃錦の相撲も先々代の若乃花の相撲も見ているし、何より母からそのころの相撲の話は結構仕込まれているのだ。「講釈師、見てきたようなウソを言い」ではないが、なんなら双葉山あたりまで遡って語ることだって出来る。
不思議なことに、20代以上の誰に聞いても、「相撲が面白かったのは千代の富士まで」と異口同音に答える。多分それは正しい。
それこそ「栃若」だの「輪湖」だの、「ナントカ時代」とマスコミは煽りたがっていたが、「若貴」のころにはもう世間も「ムリ」を感じていたのではないか。
NHKのアナウンサー、勝負が決まった瞬間、解説することすら忘れて「強い!」とだけ口にしてあとの言葉が出て来ないことが時々あったが、貴乃花にそれをやった時には、「いくらなんでもそりゃウソだ」と思うようになっていた。
時折、相撲の八百長疑惑が思い出したように囁かれていたが、実際に関取たちが勝負している姿を見れば、熱心な相撲ファンは「八百長なんてあるもんけえ!」と、口角泡を飛ばして否定していたものだった。なのに、若貴時代にはそれがなくなった。「若貴だけはしていない」とという言葉のほうが絵空事に聞こえるようになっていたのだ。
……八百長疑惑も、二子山部屋のスキャンダルも今の相撲人気の凋落と関係があろう。だがそれ以前の藤島部屋と二子山部屋の合併、これが一番のガンであったと今なら確実に言える。同部屋どうしの取組は行わないというあの「公然たる八百長」を仕組まれたあとでは、それまでの純真なファンは、ファンでありつづけることができなくなってしまったのである。
「……そのうち横綱がモンゴル人ばかりになっちゃうんじゃないですかねえ」
運ちゃんがそうしみじみと呟くのを聞きながら思うのは、「別にそれでも構わないよなあ」ということだった。「日本人の血」を第一とする旧弊な相撲界のしきたりが、ある時は力道山に、ある時は小錦に涙を流させたことを考えると、これ以上くだらぬところに相撲界が堕していくのがあまりに情けなく思えたからである。
しげがついに自動車の仮免を取った。
「一発で取れたよ!」
顔写真、実に仏頂面。まあ、免許証の写真がニッコリしてる必要はないにしても、身分証明にもなるんだから、もちっと愛想のある表情をしたっていいと思う。
「今日から私のことを『カリメン』って呼んでいいよ」
「カリメンしげ」ってか。『時には母のない子のように』でも歌う気か。
……誰が呼ぶか(--#)。
しかし、今日は午前中はずっと教習所、夜は仕事、明日は丸一日「きらら博」だというのに、しげは寝る間が殆どないのである。
「どうして前日くらい休みをとっておかないんだよ」と言ってふと気づいたが、きらら博に行くことを決めたのはつい先日のことだったのだ。
いきなり休みを入れることなんて、簡単にいくわきゃなかったのである。
しげ、「今日、仕事から帰ったら、朝まで2時間くらいしか寝れん」とぴーぴー泣くので、「新幹線の中で寝ればいいじゃん」と言ったら、「そんなモッタイナイ!」と言下に否定された。
そうなんだよ、こいつ、目的地で遊ぶことよりも、新幹線に乗ることのほうが楽しいってやつなんだよ。
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09月14日(金)
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