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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■アノ娘にもツバがついていたのね/DVD『2001年宇宙の旅 スペシャルエディションBOX』
しげとの生活が再開して二日(なんかリコンしてたみたいやな)、安穏な生活は既に消えている。
入院中は確かに同部屋の人の煙草なんかに悩まされたりはしたものの、普段ほどのストレスはやはり感じていなかったのだ。
一人の寂しさには慣れることはできても、二人の喧しさには堪えられないものなのだろう。誰も一人では生きられないなんてのは、相互依存を正当化する言い訳に過ぎない。
しげ自身、しみじみと「アンタがいないとカラダが楽だ」なんて言い腐りやがる。「これまでも仕事がきついときはあったけど、アンタがいないとこんなに疲れ方が違うなんて思わなかった」だと。
そりゃ日頃からしょっちゅう私に絡んできてるんだから、疲れるのは当たり前だろう。でももっと疲れてんのは絡まれる私の方だぞ。よくもまあ、そんな口が利けたもんだ。
「アンタが結婚して以来、心が休まるときがなかったって言ってたの、やっとわかったような気がする」
遅いわ。それに解ったからって改善するつもりなんてないくせに。どうせまた何やかやと甘えたりねだってきたりするに決まっているのだ。
……なんだかまた、一気に肩が凝ってきたなあ。
遅く起きたせいで、『パワーパフガールズ』を見損なう。
『仮面ライダーアギト』だけはやっと見たが、思わせぶりな謎ばかりちらつかせるだけで、ドラマ展開が遅いのは相変わらず。
今日は久しぶりに劇団の練習に参加するので、『コメットさん』は見られない。……練習、10時30分からにしてくれないかなあ。
しげはバイトのミーティングがあるとかで、少し後れる由。なんで日曜の朝っぱらから打ち合わせなぞせにゃならんのかね。
しげの話によれば、今、しげのバイト先は「異常事態」だそうな。
「なんだい、異常事態って」
「売り上げが増えてんの」
「……別にいいことじゃん」
「ほかの店舗とヒトケタ違うんよ!」
なんじゃそりゃ。
「……よっぽどキレイなウェイトレスさんがいるとか?」
「別に」
まあ、そんな子がいて、ちょっかい出そうとする男の客がいたとしても、しげのヒト睨みでみんな逃げ出しちゃうだろうな。……ぼーっとしてるときのしげの眼って、イッちゃってるみたいで、モノゴツ怖いのだ。
ハッ、もしかして、「あの店には変な女がいる」とかでしげを見に来る客が増えてるとか?
練習場のカギを預かって、吉塚のパピオに直行。
遅れると言ってたワリに、しげも20分の遅刻で到着。
今日の参加者はよしひと嬢に穂稀嬢、更に穂稀嬢の彼氏が今日から入団。
人員だけはどんどん順調に増えてはいるんだよなあ。練習の参加者は少ないけど。
「彼氏のことは何と呼べばいいのかな?」
と聞くと、本人が口を開く前に、穂稀嬢が「隼翔(はやと)って呼んでください」と言う。
なんだかもう勝手に名前決められてるけど。
更にしげが意味もなく「『カゲロウ』にしよう」と言い出す。
「どこから出て来たんだその『カゲロウ』ってのは」と聞いたら、しげ、「睦月影郎」。……そりゃポルノ作家の名前だっ! 相変わらずしげのネーミングセンスは普通と違う。
……で、結局なんて呼べばいいんだよう。
何だかウチの劇団の男って、みんなカノジョのシリに敷かれてるタイプが多いような気がするのは錯覚だろうか。
肉体訓練を延々2時間。私のようなトシヨリは、そこまではとても付き合えない。1時間でバテて休憩を取る。
せいぜい16畳程度の広さしかない練習部屋でハードな運動してたら、ものの10分で酸欠状態になってしまう。もうちょっと換気のいい練習場がないかなあとも思うんだが、演劇専門の練習場(で安価なとこ)って、市内にはそうそうないんだよねえ。
頭痛を押さえながら午後は台本の読み合わせ。
ようやくよしひと嬢の脚本第2稿が完成したので、まずは通して読んでみる。難点はストーリーはあるがドラマに乏しいこと。また、長ゼリフが多く、ダレ場が出来ていることなど。
「何かもう一つ、事件が起こせないものかなあ」なんて、自分が書くわけじゃないとなると、無責任なことを言い放つ。
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08月26日(日)
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