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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■つーきも、おぼーろに、しらーああうおの、/舞台『黙阿弥オペラ』(井上ひさし)
朝まだき。
まどろみの中、隣から聞こえてくるしげの声に目が覚める。
「……お願い……縄をほどいて……」
……え?(・・;)
「ああっ! だめ……」
慌てて飛び起き、寝室から居間を覗くと、パソコンの画面を食い入るように見つめて『虜2』にハマッているしげの姿が。
そう。
最近、しげはエロゲー三昧の日々を過ごしているのだ。
どうやら劇団メンバーの誰かから借りたらしいのだけれど(特に名を秘す)、いったんバソコンの前に座るや否や、しげの目は爛々と輝き、女の子をひっくり返したり縛ったり、好き放題している。
だからお前、女だろうが。
なんで美少女エロゲー、しかもSMものにハマるんだよ。
「……私をこんなにしただけじゃ足りないんですか……」
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(脱力の間)
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……知るか!(`_´メ)
あまり私がいやがるので、しげはヘッドホンをつけるようになったのだが、そこまでしてエロゲーに賭けるその情熱がいったいどこから生まれてくるのかは謎である。
ようやく雨も小降り。
それでも自転車の山越えはちとキツイ。
ようやく懐が豊かになったので、仕事から帰って博多駅の紀伊國屋書店に向かう。
しげを誘っていこうとしたが、どこかに遊びに行ってるのか姿が見えない。仕方なく一人で外に出る。
途中、父と姉の店(床屋)に寄って散髪。
父の日のプレゼントが遅れたことを詫びる。
「そんなことより、なんで店に顔ば見せんか」
「ときどき側は通りよるとばってん、しげが寄りたがらんとよ」
「なんでや」
「なんか怒られると思うとるんやない?」
「なんで俺が怒るとや!」
今怒ってるのはなんなんだ(-_-;)。
でも、しげのほうも、昔ながらの臆病だからといって、何か土産がなければ顔も見せられないというのは、ちょっとどうかと思うのである。
親父も言っていたが、「そのうち俺はいなくなるんだから」。
お袋とももっと話をしろと言ってるうちにさっさと先に行かれてしまった。
そういう点ではしげは、相当、人生を損していると思う。
父、有馬温泉と嬉野温泉の土産をくれるが、全部饅頭。
だからダイエット中だってのに。自分の息子が糖尿だって知っててなんでこんなことするかなあ。
……もしかしていやがらせ?
ここらで濃いお茶が一杯怖いぞ。
帰宅してみると、しげはいつの間にか家にいる。
この日記の4000HITのご褒美に、本屋で売ってた「大人の科学 エジソン式蓄音機組みたてキット」をプレゼントするが、しげは一言、「糸電話?」と言っただけだった。
しげは私に「プレゼントしても無表情だから、やりがいがない」と、いつも文句を言うが、それはお互い様というものだ。
腹がすいたのでしげと近所のCOCO一番屋でフルーツカレー&豆腐とオクラカレー。
……組み合わせを間違えたなあ。
オクラとパイナップルは合わない。
帰宅してしげは「眠い」と言って寝る。
私も眠かったが、がんばって昼間録画しておいた舞台『黙阿弥オペラ』を見る。
以前福岡に来た時に生で見てるのだが、良くも悪くも作者の井上ひさしの癖が出ている作品。
ともかく情報量を詰め込みすぎててセリフがすべて説明口調なのだ。
河竹新七が「この度引退を決意して黙阿弥と名乗り……」なんていちいち自分で説明するのだものなあ。普通、どんな新人戯曲家だって、「新七さん……いや、違った、黙阿弥さんだったな」とかなんとか、他人との会話のなかで状況の変化は説明するぞ。
基本的に井上氏、シナリオ技術に関しては素人レベルなのだが、それでもそう退屈せずに見られてしまうのは、やはりその「情報量」によるところが大きいのだ。
「へえ〜、黙阿弥ってこういう人だったんだ」
「樋口一葉って苦労人だったんだなあ」
「共通語を作るって大変だったんだなあ」
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06月21日(木)
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