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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ハカセ登場!/『カムナガラ』1・2巻(やまむらはじめ)ほか
二週間ぶりの練習日。
と言っても、殆ど脚本担当で通常の仕事がない私は、日頃あまり熱心に顔を出してはいない。今日はミーティングがあって練習場に行けない女房の代わりに、ロッカーのキーを預かって出掛けることになったのだ。
でも、よしひと嬢はインフルエンザで欠席、鴉丸嬢と其ノ他君は携帯の契約とかで欠席、鈴邑くんは日曜出勤の職場に就職が決まったのでしばらく来れなくなったとか、奥さんの愛上さんもふなちゃんの手がかかり始めたとかで欠席、塩浦さんも引越しの準備とかで欠席、来られるのは桜雅さんだけである。
これで私に何をせよというのか。
「とりあえず柔軟と腹筋させといて。異常に体固いから」
女房にそう言われて小雨振る中、千代町の「パピオ」に向かった。
途中、自転車が雨で滑って、派手にこける。
車道の端を走っていたら、後ろからププウとクラクションを鳴らされ、慌てて人道に上がろうとして上り損ねたのだ。自動車は謝りもせず(まあ追突したわけじゃないから仕方ないのかもしれんが)、そのまま行ってしまった。
腰や肩を結構強く打ちつけたので、すぐには歩けなかったが、出血は右の掌をちょっとすりむいただけである。
後で女房にこの話をしたら、「どうして慰謝料をとらなかったのか」と言われたが、俺は当たり屋じゃねえぞ。第一、掌すりむいたくらいで金を要求する方が犯罪だってばよ。
「私はちゃんとおカネもらったよ?」
「何それ」
「だから、この夏の事故が示談になったから……」
「おい、それ初めて聞くぞ。いつだ」
「先月末……」
このアマめ、金が入ったこと、私に内緒にしていたのだ。金額を聞くとまあちょっと贅沢ができる程度の金額ではある。
「これは私のおカネだもーん、だから別に誰にも知らせなくってもいいんだもーん」てな心理なんだろうが、セコイよなあ。
女房は貧乏生活が長かったので、すっかり性格が歪んでいるのだ。だから、たとえ私が女房のカネをピンハネしたりはしないと解っていても、どうしても隠してしまうのである。金が絡むと人が変わるとはよく言うが、女房はこれがフツーだ。永井豪のマンガに出てくる「欲ふか頭巾」みたいに一度握ったものはゴミでも離さない(と思う)。
昔、宮部みゆきの『火者』を読んだ時に、女房が「金が絡めば親でも死んでてくれって思うの普通だよねえ」と平然と言いはなってたことを思い出したな。
女房の外面を見て、「ちょっとマヌケだけど基本的にはいい人」だと思ってる方もいるようだが、本性はこんなヤツなので、信用したりないように。
練習場には時間ピッタリ10時に着く。
桜雅さん一人かと思っていたら、お友達の女の子も一人連れてきていた。
なんと入団希望者である。ウチは基本的に出入り自由、入団試験などというものは全くないのだが、オタクや社会不適合者は多いので(^_^;)、ウッカリ入っちゃったりしてもいいのかなあ、と思う。世間話なんかしながら、どんな子か確かめてみる。
私の得意技の一つに「カマかけ」というのがあって、気がついたら相手はプライバシーのいらんことまで喋っちゃってるってことはよくあるのだが、別にそんなことしなくてもこの子は自分からペラペラ喋るのであった。
なんとこの子、まだ19歳なのに、○○、○○○○○○○、○○○○○○○○○○○。しかも、○○○○○○○○、○○○○○○○○○○○○○。
ああ、そんなことを初対面の人間に全部喋っちゃっていいの? そのあともとてもここには書けない危ない話が続出。……なんでこんな子が桜雅さんの友人なのだ? 全く正反対ではないか。
でも、こういう屈託のない子は好きである。派手なようで、優しいところもあって、怪我をしていた私にバンソーコーを貼ってくれた。中年になると、こういう若い子の愛情に弱くなっちゃうのよ。立派なオヤジキラーになれる要素があるな、と思ったら、
「オヤジのほうが好きですね」
なんてことを言う。……なんか、ウチの劇団、そういうやつが多くないか。……類友?
「キャストとスタッフどっちが希望?」
「……どっちがどっちなんですか?」
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03月25日(日)
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