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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■水の中の失楽/アニメ『も〜っとおじゃ魔女どれみ』1・2話ほか
今日の練習に間に合うように、ほぼ徹夜して次の芝居用のシノプシスを書き上げる。原稿用紙にすればせいぜい数枚のものだが、それでもポイントをしぼってドラマとしての盛りあがりが分るように書かねばならぬので、これは結構しんどい。
やっと書き上げたのは朝の7時で、さすがに練習にそのまま顔を出すのは体力が持ちそうになかったので、原稿だけ女房に渡して、泥のように眠る。
目覚めたのは昼の2時。さて、打ち合わせはどうなったかとパピオに向かう。
今日は久しぶりにほぼ全員が揃った由。
ふなちゃんはもう何か意味不明な言葉を喋り始めている。「ずっと見てても全然飽きないんですよ」と愛上嬢、幸せそうである。鈴邑君はふなちゃん抱きながら全く無表情だが、娘さんをポーカーフェイスに育てるのは考えものだと思うぞ。
残念ながら鴉丸嬢と其ノ他君は所要で早引けしたそうですれ違ってしまったが、女房からの超巨大バレンタインチョコを手にして、その重量感に圧倒されていたとか。
牛乳パックを型に、ただぶっといだけのチョコの塊をもらっても、あまり嬉しかないと思うんだが。塩浦嬢のダーリンにも同じようなのをプレゼントしたそうだが、本当にどうやって食べるのだろう。
で、肝心のシノプシスであるが。
「どうだった?」
「あ、あれ? ボツ」
……半年間、トリックを練って、実際に脚本を2稿まで書き上げてこれである。みんな厳しいなあ(T_T)。でもやりたいものをやらなければ劇団としての独自性は生まれないので、適当なところで妥協しないその姿勢は立派である。
二週間後に会うときまでに、メンバーがそれぞれアイデアを持ち寄ることで次回作は保留と言うことに。まあ、アイデアはまだまだあるので、みんなが「これやりたい!」と言いたくなるようなものを出さねばな。
鴉丸嬢は小林泰三の『玩具修理者』のようなものがやりたいとか。「今度は明るいものを」という意見はあるが、そう言いながらやはりどこかダークなものを志向する傾向がウチのメンバーにはなぜかあるようである。
実は私の出したシノプシスも、純愛ミステリーをやろうとしてやはり暗くなってしまったもの。どうせボツなので、ここに披露して供養するとしよう。ただし、これを読んだ人がトリックを勝手に流用したりせんように。
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『水の中の失楽』(仮題)
ある水族館で、少女が紳士に語り始める。
茉莉が恭介と知りあったのは、その寂れた水族館だった。
彼女は不登校の女子高生で、彼はそこの警備員だった。
ひょうきんだがどこか寂しげな恭介に、茉莉は少しずつ惹かれていく。
ある日、恭介のもとを一人の女が訪れる。しかしその時恭介は席を外しており、茉莉が留守番をしていた。女は唖らしく、身振り手振りで恭介の知り合いであることを茉莉に知らせる。恭介の過去を知っているらしい女の存在に狼狽する茉莉だが、ふと自分が恭介のことを何も知らないことに気づく。茉莉はこの謎の女から、恭介が戻るまでに何とか彼の秘密を聞き出そうとする。
かろうじて知り得たのは、女がかつて恭介と深い関係にあったらしいということだけだった。しかしそれだけで十分だった。茉莉は呆然とする。
渡したいものがある、と女は重いボストンバッグを持ってきている。しかしその中身を決して茉莉に見せようとはしない。茉莉は何とかしてその中を見たいと思い、女の注意をそらそうとするが、どうしてもそのバッグを手放そうとはしない。
何も知らない恭介が戻ってきて、女を見て驚く。女の名前が葉子であることがそこでわかる。恭介は葉子のバッグを引ったくるように奪うと、どこかへ去っていく。後を追いかけようとするが、心臓が弱いらしく、その場にうずくまってしまう。恭介を追いかけて茉莉も出て行く。
一人残された葉子は、ふと、何かに誘われるように水族館の奥へと入って行く。
一週間後。
心臓発作で死んだ葉子の再調査に、探偵の環がやってくる。葉子は実は大会社の社長令嬢であった。恭介は以前その会社に勤めていたことがあったのである。
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02月11日(日)
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