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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■自動車とはケンカしないように
朝、女房、喜び勇んで練習に出かける。
午後から映画に行く約束をしているので、「4時に待ち合わせねぇ」と、女房の声も軽やか。
5分ほどして、電話のベル。女房からだが、なんだか息遣いが荒い。
「どうした?」
「……車に、轢かれた……」
「なにいいい?!」
日頃からマヌケな冗談を飛ばしている女房だが、それは天然。ツクリの冗談を言う奴ではない。
「ケガは?!」
「骨は折れてない。けど足ひねって動けん。で、頼みがある……」
「なんだ?!」
「……練習場のドア開けといて」
自分の心配をせんかあああ!
間違いなく事故は本物だ。こんなときにボケかますのは女房以外にありえない。
今日集まる予定のメンバーに連絡を入れたあと、慌てて現場に飛んでいくと、確かに自動車のそばの地べたに女房が座りこんでいて、警察も来ている。
どうやら横合いから出て来た車に追突されたらしい。
「救急車は?」
「警察の取調べがあるからって、まだ呼んでない」
先に医者だろう、とは思ったものの、警察とケンカしても仕方ないので、病院への連絡を頼む。
「後5分だけ待ってください、お父さん」
誰がお父さんじゃああああ!
女房の見た目が若く、私が老けてるので、確かによく親子に間違えられる。しかし、そんなことで警察とケンカしても仕方がないので、ともかく救急車を呼んでもらう。
診断の結果、骨折はなかった。もっとも足首を強くひねって歩行は困難なので、松葉杖を借りる。薬をもらって、さっさと帰ろうとするが、女房はまだ何か心残りな様子。
「……どうした?」
「……映画は?」
「行けるか、馬鹿あ!」
それでもたっての頼みで、練習場に顔を出すことに。
「どうしても塩浦さんに、今日のうちに話しておかないといけないことが……」
松葉杖でやってきた女房に、塩浦、桜雅両嬢も驚く。
「これを……、これを塩浦さんに渡したくて……」
……ガソリンスタンドの利用券。
ああ、ここまで阿呆……(T_T)。
疲れた。
今日はとことん疲れた。
塩浦嬢のダーリンに車で送ってもらって帰宅。
ホームページの連載も今日は中止。
女房は寝転がって『ケイゾク』『サウスパーク』のDVDを見ているうちにイビキを掻き出す。
多分、我が家では何が起きようと、女房だけは平和である。
08月27日(日)
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