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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ハカセ結婚!/『ユート』2巻(ほったゆみ・河野慶)
 お父さんの転勤で、北海道から東京に引っ越してきたユート。スピードスケートを東京でも、と意気込んでいたけれども、東京には北海道のような屋外スケートリンクはない(当然だ)。それでもどうしてもスケートをやりたいユートは、万能スポーツ少年の吾川幸太と、スピードスケートの出来るリンクを探し回る。そしてようやく、スピードスケートを教えてくれるクラブを見つけるのだが、そこは同じスピードスケートでも、ロングトラックではなく、ショートトラックを教えるところだった……。
 逆境、それでも諦められぬ夢、ライバルの登場、新しい仲間たち、新たな対決など、ほったさんのドラマ構成力は『ヒカルの碁』のころから決してレベルダウンはしていない。じゃあなんで『ユート』がヒットしななかったかっていうと、やっぱり作画の魅力のなさしかないんである。面白いことに、『ユート』のコマ割り、画面構成の仕方は、『ヒカルの碁』と全く同じなのだ。ああそうか、ネームまではほったさんがやってたんだなあ、と思い出して、そうなるとこれはもう純粋にマンガ家の「キャラクターデザイン」「表情・演技の付け方」がこのマンガをつまんなくしている原因だと断定できる。
 実際、ユートと吾川の、肝心の主役二人の描き分けが、髪のトーン以外にたいした特徴がないなんてのは致命的である。特にうまくないのは「口の表情」で、パターンが少なく、キャラクターたちはしょっちゅう口が空きっぱなしである。ボケとんかい、こいつらってなもんである。『デスノート』やってるから仕方がないとしても、小畑さんと組んでりゃ、こんなに「華のない」マンガにはならなかったろうになあと、残念で仕方がない。ジャンプ読者も、堪え性がないから、つまんないと思ったらすぐに見捨てるけれども、だったら掲載し変えてでも続けてほしかったなあ。こんなに少年マンガの王道を行くような原作書ける人なんて、めったにいないのに。

09月10日(土)
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