ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491684hit]
■「よろしかったでしょうか」の謎/映画『ソラリス』/『ウエスト・ウイング』(エドワード・ゴーリー)
23、天井のフックからぶら下がっている黒い「人形」。内臓のようにも見える。
24、床に置かれた唐草模様の壷。高さはドアほどもある。
25、扉が開いている。廊下を挟んで、その向こうの部屋の扉は閉ざされている。
26、床を四つ足で歩く、小さく奇妙な生き物。蜥蜴のようだが顔は鳥のよう、体にはセビレと縞模様がある。
27、テーブルに置かれた石。なぜか石の表面は一部が切り取られたように白い。ゴーリーが白い絵の具で塗り潰しているのである。
28、床に座って向こうを向いている少女。
29、壁紙が3ヶ所、破られている。
30、宙に浮かぶ蝋燭。
〔裏表紙〕広い空の下、左下に小さく西棟。窓が一つ、塗り固められている。
さっき「怖い怖い」と書いたけれども、17の白い影や、19のミイラのように、直截的で怖いというよりはおかしみを感じてしまう絵もある。26の小動物は『うろんな客』にも通じるゴーリーワールドのマスコットの一匹で、かわいらしいくらいだ。12の裸の男など「ナニしたあとかよお前」と突っ込みたくなる(^_^;)。
こうして見ていくと、折り返しに「とほうもなく怖い作品」と惹句が書かれているのが、「ホントにそうかあ?」と疑いたくもなる。ゴーリー氏、案外ワザとやってるのではないか。
ホラーとコメディは紙一重だが、あえて滑稽の部分に足を半歩踏み入れてコントラストを取り、他の絵の恐怖を弥増す効果を狙っているように思う。
4と25が対照的に描かれているのも上手い。総じて、思わせぶりになりすぎない程度の、絶妙なバランスの絵が多い。中でも私が一番好きなのが18の椅子の絵だ。これなんか額に入れて部屋に飾ったら、たとえどんなにハートウォームな雰囲気の部屋でも、それだけで一気にダークなムードに包まれること請け合いである。まあやるやつぁあまりいないだろうが。
ゴーリー氏がこの世に残した作品は120冊。日本に翻訳されているのはまだその膨大な作品群の一部に過ぎない。これらの本がもっと売れに売れて、次の作品を読めるまでの間隔が縮まってくれると嬉しいのだが。
07月18日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る