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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタアミ承前/『すごいけど変な人×13』(唐沢俊一・ソルボンヌK子)/DVD『金田一耕助の冒険』ほか
 そのことを大林監督は、よく判っていた。だから、原作小説だけでない、監督が愛してやまない数々の映画やCMやその他もろもろ、岸田森の吸血鬼が、三船敏郎の初代金田一が、片岡千恵蔵のホントの初代金田一が、峰岸徹の瞳の中の訪問者が、引退した山口百恵が、東映時代劇からは東千代之介が、高木彬光や横溝正史本人が、考えるゴジラが、星の数ほどのキャラクターたちがただ単に顔見せ程度に出てくるだけ出て来たのだ。
 パロディに名を借りた、これは監督の「お遊び映画」だったのだろう。

 実際、こんなに監督の一人よがりで作られた映画も滅多にない。
 金田一耕助にビリー・ザ・キッドを、等々力警部にパット・ギャレットを重ね合わせて撮ったと大林さんは言うが、そんなん誰が気付くか。しかし言われてみればまさにその通りで、この映画の中での金田一耕助は、大好きなキャラクターや映画たちの間を駆け巡る、まさにイタズラ好きの少年だったのである。
 最終的に夢のない犯罪に飽き足らなくなった金田一自身が、真犯人に変貌して行く過程、このへんには『熱海殺人事件』で犯罪にロマンを求めたダイアローグライターのつかこうへいのアイデアも反映されていると思うが、少年がイタズラに走るのは、つまらない現実をぶち壊し、革命を願うココロの現れにほかならないのではないか。
 ああ、そうだ。
 この映画の金田一って、『クレヨンしんちゃん オトナ帝国の逆襲』のケンにそっくりなんだ。回りにあるのはただそこにある懐かしい、いつか見た風景たち。だから、トシを追うごとに私はこの映画が大好きになっていくのだ。ギャグの元ネタが判らなくなるくらい古くなれば古くなるほど。

 アニメオタクには、オープニングの和田誠のアニメーションも一見の価値ある傑作だと紹介しておきましょう。
 欲を言えば、せっかくのDVDなんだから、ついでにテレビ放映時の改訂版音声も収録してほしかったなあ。百恵ちゃんにそっくりの不二子像に江木俊夫がキスするシーンで、テレビ版は百恵引退の直後だったんで、セリフが「どうして引退しちゃったの!?」に差し換えられてたリしてたんだけど。


 疲れが取れず、咳も止まらないまま、泥のように眠る。
 明日は起きれるかなあ。

11月25日(日)
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