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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■新番第4弾/『クレヨンしんちゃんスペシャル』/『化粧した男の冒険』(麻耶雄嵩・風祭壮太)ほか
 シャーロック・ホームズだって「自分の知的好奇心を満足させてくれる事件が起きないか」っていつも考えているし、明智小五郎だって、ある事件じゃ真犯人の片棒担いだりしている。
 ラスト・ケースの真犯人が探偵ってパターン、どれだけあるかね(^.^)。
 マンガが犯罪の誘発要因のように言われ出す前、目の敵にされてたのはミステリーだった。戦前、乱歩の小説が谷崎潤一郎と並んで、有無を言わさず全作発禁になったのは、そのエロ・グロ性ゆえであったが、そういった暗いイメージを払底しようと、戦後は「ミステリーは健全な読み物です」みたいなキャンペーンが張られることも多くなった。まあ、悪は滅びるっていう「勧善懲悪」的な物語ばかりが量産されちゃったんだね。
 けれど、探偵と犯人の知恵比べっていう設定は、実は勧善懲悪とは何の関係もない。探偵が悪に手を染めることだって、あるのが「自然」だ。
 シルクハットにタキシード姿、自分は名探偵ではなくその名を後々まで人々の心に刻む「銘」探偵である……って、性格が悪いっていうより、破綻してるぞ。
 だからこのシリーズ、ある意味で全ての事件の真犯人は、メルカトル自身とも言えるのだ。
 凄いんだかヘンなんだか。


 マンガ、清涼院流水原作・蓮見桃衣漫画『エキストラ・ジョーカー JOE』(角川書店・588円)。
 で、これもミステリの漫画化ってことになってるけど、「日本探偵クラブ」とか、「L犯罪」とか、非現実的な設定がやたらぶちこまれてるので、どこまで事件をまともに受け取っていいのかわかりにくい。なんだか『ケイゾク』の後半のようである。
 まだこれが前編ということで評価は下しにくいが、新時代のミステリの一つの形式を作るのか、ただの大バカ漫画になっちゃうのかは、神一重ってとこだろう。
 少なくとも「ファジィ推理」ってのが、「直観」とどう違うのか、くらいは説明してほしいもんだけど。

 ……それにしても、まさか『全てがFになる』までが浅田寅ヲで漫画化されるたあ思ってもみなかったなあ。買いはしたが、怖くてまだ読めないでいるのである。

10月05日(金)
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